研究課題
(1)路線網を踏まえた施設配置法移動需要が複数のバス停からただ1つのバス停へ向かう問題に対し、ネットワーク成長モデルを応用した路線網生成法を構築した。この手法を改良し、評価関数(路線網利用者の所要時間とサービス提供会社のコストを表すバス台数の和)が最小となるただ1つの目的地の座標を遺伝的アルゴリズムを用いて最適化することができた。これより、複数のバス停を経由して最終的な目的地(ハブ)へ繋がるトポロジーを持つネットワークを構成できる手法が得られた。(2)路線網構築問題のためのマルチエージェントシステム(MAS)帰宅困難者輸送では、首都圏全域を対象とするような大規模な解析が必要となる。各路線をエージェントと見立てたマルチエージェントシステムを構築するとともに、大規模な解析にも耐えうるよう、計算速度の向上を目的とした進化手法を研究した。開発されたシステムは、小規模なベンチマーク問題に対して最良の解を出力することができ、高速化の処理を施しても、最良解と同等な解が得られることを確認した。また、エージェントの進化ルールを改良して複数の輸送モード(バス、水上バス)を導入し、首都圏全域を対象とした帰宅困難者輸送を想定した路線網を実用的な計算時間で出力することができた。(3)MASのための初期路線集合の生成コミュニティー抽出法の指標に、輸送問題で重要となる需要と距離を導入し、1つのコミュニティーに分類されたバス停の組み合わせを1つの路線の経路として利用することを試みた。小規模なベンチマーク問題に対し本手法を応用し、得られた路線網を(2)のMASの初期集合として進化過程に委ねた。進化過程を経て得られた路線網は、最良の路線網には及ばないものの、それと同等の性能を示し、進化ステップはネットワーク成長法を基礎としたオリジナル手法の1/3程度に抑えられることが確認できた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
"Characteristic of Passenger's Route Selection and Generation of Public Transport Network",Majima, T., Takadama, K., Watanabe, D., and Katuhara, M., により、計測自動制御学会 システム・情報部門 論文賞受賞
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