研究課題/領域番号 |
25280118
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石田 栄美 九州大学, 附属図書館, 准教授 (50364815)
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研究分担者 |
冨浦 洋一 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (10217523)
高山 泰博 徳山工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30565841)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 価値観推定 / 内容分析 / 価値観 / 自動分類 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
本研究では、ある事柄について書かれた意見に対し、その意見の背後にある価値観の自動推定を行い、その結果を用いて実際の内容分析が行えるかを検討することが目的である。本年度は、主に以下の点について研究を進めた。また、テストコレクション提供や研究成果発表の場としてウェブページの整備をおこなった。 ・価値観の自動推定手法:文を構成する語が価値観を持ち、文の価値観は語が持つ価値観の論理和で表されるというモデルをもとにした手法に関する論文を、国際会議で発表した。また、先のモデルよりは性能は落ちるが、語と価値観との関連を示すことができるモデルを提案した。このモデルから示された結果を用いて、社会科学の観点から語と価値観との関係についての分析を行った。この結果についても国際会議で発表した。 ・内容分析において人のアノテーション作業をどの程度軽減できるかに関する分析:内容分析におけるアノテーション作業を代替することができるような自動判定手法(分類器)を開発しているが、分類器はすでにアノテーションされたテキストをその学習として用いる。ここでは、どの程度アノテーションされたテキストがあれば、分類器は人手によるアノテーション作業と類似した結果をだすことができるかについて分析した。結果は、今後、雑誌論文としてまとめる。 ・新しいテストコレクションの構築・価値観付与:台湾の共同研究者を招聘し、アメリカの研究者も(遠隔で)参加し、新しいテストコレクションの構築について検討した。ウェブ上の情報を対象にすることを想定していたが、台湾でも同様のテストコレクションを構築するため、国や言語の違いを比較することができるように日本語のテストコレクションも新聞記事を対象にすることにした。また、対象とするテーマも同じものとした。これに伴い、日本語の新聞記事データを購入し、記事に対して内容分析を行う研究者を探し、作業を依頼した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
価値観の推定手法については、おおむね計画通りであり、国際会議の論文として発表することもできた。人のアノテーション作業の軽減に関する分析は終了しているが、現在、論文としてまとめている段階である。新しいテストコレクションの構築に関しては、価値観カテゴリセットの構築までにはいたっていないが、対象とするデータ、トピック等は決定しており、作業の見通しはたっている。
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今後の研究の推進方策 |
・人のアノテーション作業の軽減に関する分析は、早急に論文にまとめて投稿することを目指す。 ・新しいテストコレクションの構築に関しては、価値観のカテゴリセットの確定を早急に進め、アノテーション作業に入れるようにする。コレクション構築は、2017年度秋までには終了できるよう、随時、進捗を確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アメリカから共同研究者を招聘予定であったが、共同研究者の都合により、遠隔でのテレビ会議参加となった。そのため、招聘に関する経費を使用しなかった。 新しいテストコレクション構築に関して、データ収集ための経費とアノテーション作業のための謝金を用意していたが、アノテーション作業を開始できなかったため、次年度使用することとした。データ収集は新聞記事を購入することになったが、分析の全体像が確定してから、残りの新聞記事を購入することにしたため、一部の購入にとどめた。
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次年度使用額の使用計画 |
アノテーション作業の謝金、追加の新聞記事データの購入に使用することを計画している。 新しいテストコレクションに関する研究を検討するためにも、実際に顔を合わせての議論も必要のため、国際会議などとあわせた研究打ち合わせのための海外出張を検討する。
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