研究課題/領域番号 |
25280118
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石田 栄美 九州大学, 附属図書館, 准教授 (50364815)
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研究分担者 |
冨浦 洋一 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (10217523)
高山 泰博 徳山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30565841)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 価値観推定 / 内容分析 / 価値観 / 自動分類 / テストコレクション / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
本研究では、ある事柄について書かれた意見に対し、その意見の背後にある価値観の自動推定を行い、その自動推定結果を用いて手作業で行われる内容分析と同様のことが行えるかを検討することが目的である。本年度は、内容分析に自動的な手法を取り入れた際の評価方法に関する論文の執筆、新しいテストコレクションの構築、構築したコレクションを用いた内容分析を行なった。 テストコレクションの構築では、2011年から2013年の日本語の新聞記事のうち、福島原発事故に関する記事を対象にメディアフレームと価値観フレームのコーディングを行なった。コーディングは、記事レベル、段落レベル、文レベルで付与した。本年度はランダムに選択した各年70記事までの付与が終了している。次年度も継続する予定である。 内容分析に関しては、本コレクションのために構築したメディアフレームや価値観フレームを用いて、同新聞記事の福島原発事故に関する社説515記事に対しコーディングを行ない、言説の内容の分析を行った。メディアフレームでは、全期間を通じて「政治判断」のコードが最も多かった。2012年には「情報公開」のコードも増加し、2013年になると「エネルギー」「環境保護」「安全保障」などが増え、論点が拡散することが明らかになった。価値観フレームをみると、多くみられたコードは、2011年は「効率性」、2012年は「重要性」、2013年は「社会福利」であり、変化していた。これらの分析を土台とし、次年度では、社説以外の記事も含め、記事レベル、文レベルの分析を行なう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新しいテストコレクションの構築において、人によるコーディング作業に予想以上の時間がかかっている。記事レベル、段落レベル、文レベルのコーディングをそれぞれ行なっており、また、2名によるコーディングを行なっているためである。
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今後の研究の推進方策 |
コーディングの効率化を検討することが考えられるが、人によるコーディングの効率化を進めると、コーディングの質を担保できない恐れがあるため、分析対象記事を減らすなどの方策を検討する予定である。 コレクションの構築が終了するまで実験や分析に着手しない予定であったが、今後は、並行して、これまでに構築したテストコレクションを用いて実験や分析を進める予定である。また、自動推定手法を適用した自動コーディングの可能性についても検討を始める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
テストコレクション構築に必要な人によるコーディング作業に見積以上の時間を要したこと、それにより、新しいテストコレクションを使用した研究を進めることができなかったため、研究打ち合わせ、研究成果発表に伴う経費が必要なかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
人によるコーディング作業時間を増やし、コーディング作業のために経費を支出する。また、すでにできているテストコレクションを使用した研究に着手するため、研究打ち合わせの経費に使用する。さらに、研究成果発表に伴う経費のために支出する。
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