研究課題/領域番号 |
25280119
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 義則 東北学院大学, 文学部, 教授 (60320610)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学術情報 / 電子ジャーナル / 情報利用 / アンケート調査 / 学術論文 / 電子的情報資源 / 情報の需要と供給 |
研究概要 |
本研究は,学術論文をはじめとする研究者の情報利用に焦点をあて,研究者,学生がどのように論文を発見,収集,活用しているか,そして電子ジャーナルをはじめとしたインターネット上の電子的情報資源の充実や普及といった学術情報の利用環境の変化が,研究者や学生の情報需要および大学図書館に対する期待と要求に具体的にどのような影響を与えているかを明らかにする。研究者の学術情報利用行動については,これまでにもさまざまな調査が実施されてきたが,単発的なあるいは局所的な調査では環境の変化に伴った利用面での全体的な変化を捉えることは難しい。そこで,本研究ではこの点を踏まえて,研究代表者および連携研究者が中心となって行なった2007年度,2011年度調査を発展させ,国際的連携のものとに,経時的変化の観測と国際的な枠組みによる比較を行なう。 平成25年度は,連携研究者および大学図書館等の研究協力者の協力の下,「国内文献に関わる電子情報資源の利用環境調査(論文の電子化とオープンアクセス化の状況,ならびにNACSIS-ILLのログデータ分析等による需給状況の確認)」,オープンアクセス雑誌(海外の学術出版者において進行中のAPC(Article Processing Charge)に基づく雑誌論文のオープンアクセス化)への投稿と利用に関する文献データベース調査を実施するとともに,SPARC Japan(国立情報学研究所)による「オープンアクセスジャーナルによる論文公表に関する調査」に協力し,研究者の動向に関するデータ収集を行なった。また,平成26年度に実施する「学術情報の利用に関するアンケート調査」について,研究代表者,連携研究者が協力して質問項目の整備等の調査設計を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時に予定した作業のうち,「国内文献に関わる電子情報資源の利用環境調査(論文の電子化とオープンアクセス化の状況,ならびにNACSIS-ILLのログデータ分析等による需給状況の確認)」については,これまでにデータの収集と分析を遅滞なく進めている。オープンアクセス雑誌(海外の学術出版者において進行中の論文投稿処理料(Article Processing Charge)に基づく雑誌論文のオープンアクセス化)への投稿と利用に関する文献データベース調査については2013年上半期までの文献を対象として調査を実施した。また,オープンアクセス雑誌への投稿と利用に関するアンケートについては,SPARC Japanによる調査に対し本研究チームが質問項目の設計,分析等で全面的に協力して実施したものであり,今後本研究においてデータをさらに詳細に分析し,文献データベース調査の結果と合わせ成果を論文等で発表する予定である。本研究において最も重要な柱となる平成26年度に実施予定の「学術情報の利用に関するアンケート調査」についても,予定通り進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
1) 研究代表者,連携研究者の連携および研究協力者(大学図書館員等)の協力の下,平成25年度に質問内容の設計を行なった「学術情報の利用に関するアンケート調査」を実施する。この調査は,国内の約50大学の研究者,大学院生等を対象に平成26年10月から12月にかけてウェブサーバ方式により行なうものである。収集したデータについては,研究代表者,連携研究者(ならびに大学院生等の補助者)が集計,分析の作業を分担して行ない,関係者ならびに広く一般に向けて初期的報告(速報)を行なう。 2) 上記1)の調査を質的な面から補足するために,「学術図書の利用に関する質的調査(研究者インタビューおよび大学院生によるフォーカスグループ)を実施し,研究代表者を中心に得られたデータの分析を行なう。また,上記のアンケート調査結果に関し,米国における同種の調査結果との比較から得られた知見について国際比較のための現地調査を行う。 3) 平成25年度に実施した「論文投稿処理料(Article Processing Charge)を伴うオープンアクセス雑誌の現状把握のための調査」について,2013年刊行論文を対象にフォローアップ調査を実施するとともに,その成果をとりまとめ発表する。 4) 最終年度である平成27年度には研究の総括を行い,研究成果報告書を刊行する。また,研究成果を国内および海外の学会等で発表するとともに,テネシー大学テノピア教授をはじめとする海外の専門家からの詳細かつ客観的なコメントを得たうえで現場に還元できる形で公表するために,海外専門家を招へいし,さらにわが国の学術コミュニケーションシステムにおける利害関係者(大学の研究者,学会関係者,学術出版社,図書館等)の参加を得て,研究全体を総括する公開シンポジウムを開催する。
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次年度の研究費の使用計画 |
文献データベース利用のために,当初予定しなかった金額(60万円)の支出が必要となった。このため「物品費」「旅費」「人件費・謝金」を減額して調整したが,その過程で支出に端数が生じてしまった。 残額は79,265円と比較的少額であり,平成26年度に「その他」の支出(文献データベース利用)として執行することとする。
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