研究実績の概要 |
本研究の目的は,学術論文の利用をはじめとする研究者の情報利用に焦点をあて,研究者(および大学院生)がどのように学術論文を発見,収集,活用しているか,そして電子ジャーナル等のインターネット上の電子情報源の充実および普及といった学術情報の利用・提供環境の変化が,研究者等の情報需要ならびに情報利用,および大学図書館に対する期待と要求にどのような影響を与えているかを明らかにすることにある。 本研究は,平成25年度から27年度の3年を予定していたが,補助事業期間延長の承認のもと平成28年度に引き続き残余分の作業を行うこととなったものである。これまでに,「学術情報の利用に関するアンケート調査」において得られた45機関の約4,000名の研究者等から回答について,集計,分析および結果のとりまとめを行った。得られた知見は主として,次の通りである。1) 人文社会科学系においても回答者の約8割が「月に1回以上」利用するとするなど,電子ジャーナルの利用は定着を見せた。2) 電子ジャーナルがあれば印刷体雑誌は不要とする回答者の比率は年々高まっており,特にバックナンバーについては自然科学系で66.2%,人文社会科学系で43.9%に達した。2007年,2011年調査の結果と比較するとこの進捗には著しいものがある。3) 自然科学系においては約3割,人文社会科学系においても約2割の回答者が,オンラインで利用可能な論文をプリントアウトせず,画面上で読むと回答した。全体としては未だ「紙」で読む利用者が大勢を占めているが,これまでの調査結果と比較するとオンラインで読む層は確実に増加していると言える。 平成28年度は以上の集計,分析の結果を日本語版,英語版の報告書としてとりまとめる作業を行った。その結果は,ウェブページ上で公開を行う予定である。
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