研究課題/領域番号 |
25280126
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
浅井 紀久夫 放送大学, 教養学部, 准教授 (90290874)
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研究分担者 |
高野 邦彦 東京都立産業技術高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10353260)
大西 仁 放送大学, 教養学部, 准教授 (40280549)
佐藤 誠 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (50114872)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 触力感覚 / インタフェース / フィードバック / 情報可視化 / ホログラフィ |
研究実績の概要 |
技能を習得するには、それに習熟する訓練が必要である。本研究では、体感的インタラクションを通して感覚情報を交換できるようにするため、触力感覚を再現する力覚インタフェースを構築する。 力覚インタフェースとして複数の糸に張力を与えることによって反力フィードバックを提示する手法を採用しており、プローブと仮想物体との接触に応じて力覚を提示する。二次元的な反力で三次元的な構造との接触を高精度に提示するため、仮想物体との接触状態に基づいて反力を発生する手法を取り入れた。二次元提示において従来用いられてきた勾配法と比較したところ、接触状態に基づく手法は接触時の衝突効果が反映されやすく、利用者の操作が力覚提示に影響されやすい結果となった。 学習コンテンツとして分子の三次元構造を提示するシステムを構築している。三次元構造を二次元反力で提示する際、そのインタフェースが利用性に影響する。そこで、三次元構造を二次元面に展開して両者を表示し、三次元構造と二次元分布との親和性の改善を図った。三次元構造を二次元面に展開するとき、展開対象の三次元形状面を開いた状態にするため、その三次元形状面に切れ目を入れる処理を行った。複雑な三次元構造に対応するため、終点と始点を指定して編集する手法により、安定的な切れ目生成が可能となった。 体感的インタラクションでは、視覚的臨場感が重要な役割を果たす。そこで、三次元情報を立体的に提示する仕組みを検討してきた。人工滝を利用したホログラフィ立体像投影法により、立体動画像を投影するシステムを構築している。立体像の表示を安定的に行うため、人工滝として循環する液体に粘性を持たせた。その結果、従来法に比べて人工滝スクリーンが安定し、立体像の揺らぎが軽減されることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、力覚インタフェースによる力覚提示の高度化を図るため、昨年度に引き続き力覚フィードバックの制御手法、触力感覚の提示に整合した可視化手法に重点を置いて研究を行った。また、技能の習得では視覚情報が重要であることが改めて認識され、立体像を表示する仕組みを積極的に研究した。 力覚フィードバックの制御手法については、三次元形状面の凹凸を二次元的な反力で提示する際、仮想物体の三次元構造との接触状態に基づいて反力を算出する仕組みを構築してきた。評価実験を実施して勾配法と比較することにより、接触状態に基づく手法の方が、利用者の操作に伴う接触時の衝突効果が反映されやすいことなど、その特性を評価した。 触力感覚の提示に整合した可視化手法については、分子の三次元構造を提示するシステムを構築し、三次元構造を二次元面に展開する機能を実装してきた。今年度は、複雑な三次元構造にも適用でき、安定的に二次元面に展開できるように処理を改良した。 立体像の表示については、動画ホログラフィとして立体像投影を検討し、人工滝を利用したホログラフィ立体投影法を構築してきた。流水に粘性媒質を加えることにより、人工滝スクリーンの安定化を実現した。 上記のように研究が進んでおり、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
力覚フィードバックの制御手法、触力感覚の提示に整合した可視化手法、立体像の表示という流れを踏襲し、本年度も研究を推進する計画である。分散協調環境では遠隔通信による反力伝達に遅延が生じる。手指を動かしたときの生体信号を反力伝達に先立って送ることにより、遅延を減らす。その生体信号を計測する仕組みを構築していく予定である。 力覚フィードバックの制御手法については、三次元形状との接触具合を再現するために、三次元空間で接触状況を算出していた。これを、二次元面での計算で処理する手法を構築する予定である。力覚フィードバックでは力の計算を高速に行う必要があり、三次元形状のポリゴン数によっては計算コストが大きくなるのに対応するための機構であり、仮想物体どうしの衝突具合の再現性が改善されると見込まれる。 触力感覚の提示に整合した可視化手法については、三次元形状の触知を支援する視覚情報の適切な提示を、引き続き検討する。三次元構造を二次元面に適切に展開する手法を確立し、インタフェースの改善を図る。三次元構造を二次元面で操作する機能を実装し、その有効性を検証していく予定である。 視覚的臨場感については、動画ホログラフィを用いて立体像を提示するシステムを構築している。立体像投影方式において、マイクロバブルを利用した立体像スクリーンの構築など、立体像提示の高度化を図っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
手形状を画像計測する機器および生体信号を計測する機器を統合するためのシステムを開発する予定であったが、要求仕様を満たすものは高額であり、本年度予算では不十分であることがわかった。そのため、これを見送った。また、システム評価実験を大規模に実施する予定であったが、システム開発が完了していないため、規模を縮小した。以上により、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
手形状を画像計測する機器および生体信号を計測する機器を統合するためのシステムの開発は早々に執行する予定である。また、昨年度の評価結果から、触力覚デバイスを利用した学習コンテンツについて、操作性を向上するための方策が必要になっている。改良手法を検討し、コンテンツ修正を実施する計画である。以上、次年度使用額については、適切に使用する予定である。
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