研究課題/領域番号 |
25281003
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
市井 和仁 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球表層物質循環研究分野, 主任研究員 (50345865)
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研究分担者 |
小林 秀樹 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球表層物質循環研究分野, 主任研究員 (10392961)
佐藤 永 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球表層物質循環研究分野, 研究員 (50392965)
植山 雅仁 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (60508373)
佐々井 崇博 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (70443190)
加藤 知道 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60392958)
渡邊 明 福島大学, 共生システム理工学類, 特任教授 (70114006)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 陸域炭素循環 / モデリング / リモートセンシング / 渦相関法 / AsiaFlux / モデル比較 |
研究実績の概要 |
1. AsiaFluxデータなどの地上観測データに関しては、より詳細にデータの確認を行い、データ品質の向上を行った。特に熱帯地域のデータに関して、前処理の方法を複数試すことにより、現時点での最良のデータセットを構築した。その結果を受けて、サポートベクタ回帰モデルを再動作させることで経験的に推定した炭素フラックスの場を改善した。その結果と他のプロダクトとの相互比較を行った。光合成量の推定についてはMODIS-GPPプロダクトに比較して本研究の推定が格段によいと判明した。 2. 実験1「現状モデル実験」のサイトレベルランについては、観測データの見直しもあり、プロトコルと入力データの整備を完了した。これらの入力データを用いたモデル実験の準備が完了し、モデル実験に取り掛かっている。 3. 実験1「現状モデル実験」の空間モデルランについては、入力データの修正、実験プロトコルの見直しを行い、過去212年をシミュレーションするように変更を行った。モデル実験を再度行った結果、以前よりもシミュレーション条件に統一性のある実験としてモデル出力を得ることができた。さらに、DLEMモデル(Tian教授; 米国Auburn大学)の参加を得て、モデル結果を取得した。その結果、各モデル結果間で、炭素フラックス、プール量などの大きな違いが見えた。一方、光合成量の経年変動については、NOAA-AVHRRのNDVIデータセットと経年変動のパターンは一致していた。 4. 実験2「改善モデル実験」のサイトレベルランについては、モデルパラメータ最適化のためのルーチンの構築を行った。現状では、Biome-BGCモデルのための最適化ルーチンの構築をすすめており、現状では構築した最適化ルーチンの最終確認をしている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は総合的に概ね当初想定通りに達成できた。詳細は以下の通り。 1. AsiaFluxなどのデータ準備と広域化については、サイトデータの準備に想定以上の困難な処理を必要としていたが、本年度概ね解決をし、現在は、サイトデータの広域化に関する論文を作成している段階である。 2. 実験1「現状モデル実験」のサイトレベルラン、では、サイトデータの準備や経験的広域化手法の適用においては、当初想定していた以上のデータの品質処理・前処理が必要になったため、入力データセットの構築までの遅れがあったが、現状では当初の想定の範囲内である。 3. 実験1「現状モデル実験」の空間モデルランについては、当初想定していたよりも複雑なプロトコルで実験を行う必要があることが判明したために、入力データ作成など多くの時間を割く必要があった。現在は、それも完了し、モデル結果の解析も進んでいる。シベリア、東アジア、アジア全体など、いくつかの地域での解析が進みつつある。 4. 実験2「改善モデル実験」のサイトレベルランについてはパラメータ最適化ルーチンの準備が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、これまでの解析結果のとりまとめを中心に行う。 1. AsiaFluxなどのデータを用いた広域化実験については、これまではCO2のみの広域化に取り組んできたが、今年度は、熱・水フラックスに関する広域化を行い、データセットを構築する。これらは、モデル比較実験のためのデータセットに追加する予定である。 2. 実験1「現状モデル実験」のサイトレベルランでは、バイオマスや土壌炭素などの炭素プール量に関するデータセットの構築を行い、フラックスのみならず、炭素プール量などの比較にも取り組む。モデル結果と観測データの比較を通した成果を論文化する。 3. 実験1「現状モデル実験」の空間モデルランでは、他の空間データ(炭素フラックス、水フラックス、炭素プール量)などとの検証、経年変動の解析、長期トレンドの解析を行い、これらを決める要因のメカニズムについての議論を進める。現状では複数の解析テーマがあるが、研究分担者間で分担を決め、論文化を進める。 4. 実験2「改善モデル実験」のサイトレベルランでは、平成26年度に構築したBiome-BGCモデル用のパラメータ最適化ルーチンを他のモデル用に移植する。その上で、モデルパラメータ最適化を介したモデル比較実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していなかったデータサーバの故障により、ハードディスク装置の購入が必要となった。そのためオンライン会合を行ったり、成果発表の旅費やその他の支出を減らしたりした結果、当初の予定よりも旅費やその他経費が大幅に抑えられ、総合的に未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、成果のとりまとめが中心になるために、そのための打ち合わせを年に数回程度行うなど、研究組織内での会合を増やし、より効率的に業務を進める予定である。また、成果発表や論文執筆に伴う英文校閲や論文出版費用などに充当する予定である。
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