研究課題
本研究では、日本沿岸に死亡漂着した鯨類を海洋生態系汚染の指標生物試料として活用し、化学物質による汚染実態とその地理的分布、経時的変動の解明、および化学物質が鯨類の健康に及ぼす影響の評価を目的とする。平成27年度も、引き続き全国各地におけるストランディング情報の集約と試料収集,病理解剖のネットワーク拡充を進め、漂着鯨類を収集し、長崎大学、愛媛大学、国立科学博物館で解剖調査を実施して愛媛大学es-BANKにアーカイブ試料として冷凍保存した。漂着に関する情報は、国立科学博物館およびストランディングネットワーク北海道のHPを通じて公開され、随時アップデートしている。また、2015年4月10日に鉾田市で約150頭のカズハゴンドウが座礁し、そのうち20頭を現場で、12頭を後日愛媛大学および国立科学博物館で解剖した。解剖調査には、長崎大学、北海道大学の他、九州大学、宮崎大学など複数の研究機関から研究者が参加し、本種の生態や汚染実態を解明するうえで大変貴重な検体となった。これまでに、大村湾沿岸に漂着したスナメリの脂皮試料を分析し、すべての検体からPCBs、DDTs、クロルデン類(CHLs)、HCHs、PBDEs、HBCDs、HCBなどの有機ハロゲン化合物を検出した。これらの蓄積レベルは、一部検体で毒性発現の閾値を超えており、化学物質による免疫低下などの影響が生じてもおかしくないと考えられた。さらに今年度は、es-BANKのアーカイブ試料を分析に供し、2000年以降の蓄積レベルの経年変動を解析した。その結果、DDTsおよびPBDEsについては有意に濃度が低減していたのに対し、PCBs・CHLs・HBCDsについては経年的な変化が認められず、使用規制後も環境中への漏出と生態系への曝露が継続していることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 5件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (32件) (うち国際学会 16件、 招待講演 2件) 図書 (3件) 備考 (2件)
Journal of Ethology
巻: 34 ページ: 147-153
10.1007/s10164-016-0459-7
Environmental Science and Technology
巻: 49 ページ: 11840-11848
10.1021/acs.est.5b02288
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 1-10
10.1038/srep14275
巻: 5 ページ: 1-11
10.1038/srep17266
Environmental Science and Pollution Research
巻: 22 ページ: 14127-14135
10.1007/s11356-015-4626-0
Aquatic Toxicology
巻: 162 ページ: 138-151
10.1016/j.aquatox.2015.03.010
Current Analytical Chemistry
巻: 11 ページ: 138-149
10.2174/157341101102150223141925
Journal of Veterinary Medical Science
巻: 77 ページ: 989-992
10.1292/jvms.14-0366
巻: 77 ページ: 45-51
10.1292/jvms.13-0454
哺乳類科学
巻: 55 ページ: 89-91
10.11238/mammalianscience.55.89
Journal of Acoustical Society of America
巻: 138 ページ: 1451-1456
10.1121/1.4928608
Marine Ecology Progress Series
巻: 535 ページ: 1-9
10.3354/meps11432
http://www.kujira110.com
http://svrsh1.kahaku.go.jp/marmam/