研究課題
現代社会では、医療、産業等での放射線利用が増加し、低線量放射線の健康影響問題は人類共通の課題となっている。さらに、東京電力福島第一原子力発電所事故(福島原発事故)では、低線量・低線量率放射線被ばくによる健康影響の科学的なリスク評価が緊急の課題となっている。本研究では、マウスモデルを用いて、低線量・低線量率放射発がんリスクを解析するための発がんモデルを開発する。実験では、ヒト家族性大腸腺腫症のモデルマウス(Minマウス)を用いる。Minマウスは、放射線により高感度に小腸腫瘍が誘発され、誘発腫瘍にはゲノム欠失が同定できることを利用する。さらには、DNA損傷修復関連遺伝子を欠損したマウスとMinマウスを交配させることにより、放射線発がんにおける損傷応答機構の関与を解明する。今年度は、複製後修復機構で中心的な役割を担う因子に着目をし、その遺伝子を欠損させたマウスとMinマウスの交配を行った。交配により得られたF1マウスと、DNA損傷修復機構関連因子欠損マウスをもう一度交配させることで得られるF2マウス(候補遺伝子野生型; Minマウス、候補遺伝子ホモノックアウト; Minマウス)を用いて、自然発症する小腸腫瘍へのDNA損傷修復機構関連因子の寄与について検討した。その結果、複製後修復機構を欠損させたMinマウスは、Minマウスと比較して、自然発がんの頻度が増加することを明らかにした。さらに、放射線発がん実験を行った結果、複製後修復機構を欠損させたMinマウスにおける放射線誘発腫瘍の数は、Minマウスと比較して、有意に高いという結果を得た。このことから、複製後修復機構に関与する因子は、自然発症および放射線発がんに関与することが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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