研究課題/領域番号 |
25281026
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
中西 剛 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (50303988)
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研究分担者 |
永瀬 久光 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40141395)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アンドロゲン / 性分化 / 17β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素 / 胎生期・発達期影響 / トランスジェニックマウス |
研究実績の概要 |
本年度は、申請者らが作製したアンドロゲン過剰暴露モデルマウス(Creリコンビナーゼ(Cre)存在下で、テストステロン合成酵素の17β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素3型とEGFPの融合蛋白質を過剰発現するトランスジェニックマウスとCre発現TGマウスを交配して得られるダブルTGマウス、以下DTG)を用いて、胎生期からの過剰なアンドロゲン曝露が与える生殖器形成への影響について、出生後を中心に検討を行った。肛門生殖突起間距離(AGD)の経時的な測定を行ったところ、XX野生型仔マウスでは出生直後からほとんど伸長が見られなかったのに対し、XY野生型仔マウスでは伸長が見られ、42日齢まで日を追うごとにその差が大きくなった。一方でXX-DTG仔マウスのAGDは、出生直後から20日齢まではXY野生型仔マウスと同様の伸長性を示したが、それ以降はほとんど伸長を示さなかった。XY-DTG仔マウスのAGDは野生型とほぼ同様の伸長性であった。またこれらのマウスにおいて、野生型-DTG間およびXX-XY間で体重増加の差は見られなかった。さらに42日齢における内生殖器について観察したところ、XY-DTG仔マウスでは特に変化は認められなかったが、XX-DTG仔マウスでは陰茎の形成の他、精巣上体および輸精管様の組織が認められた。これらの結果から、胎生期からのアンドロゲン高暴露は、XX仔マウスに対して雌性仮性半陰陽の症状を誘導することが示された。一方で、アンドロゲンシグナルに応答しウミシイタケルシフェラーゼを発現するA-Repマウスについてライン化を行い、各ラインの解析を行ったところ、どのラインも精巣以外の臓器ではアンドロゲンシグナルを検出できなかった。このことから得られたA-Repマウスの中には、アンドロゲンシグナルの解析に適したラインがいない可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は胎生期のみならず、出生後の生殖器形成についても検討を行った。その結果,アンドロゲンが陰茎や雄の副生殖器の形成を誘導するなど、雌性仮性半陰陽様の症状に対して直接的な影響を与える因子となることを明らかにできた。A-Repマウスについては、アンドロゲンシグナルの検出に適したラインがいない可能性が判明したが、生殖器官形成におけるアンドロゲンの生理学定義自体の解明は順調で、概ね計画通り進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も、アンドロゲン高産生胎仔や仔マウスの生殖器官形成について、引き続き検討を行っていくとともに、抗アンドロゲン剤を胎生期から投与して、これまで確認されてきたフェノタイプが消失するかについても検証を行うことで、アンドロゲンに依存した作用点を明確にしていきたいと考えている。またXY仔マウスについては一見変化がなさそうであるが、出生後のホルモン濃度などを測定するなどの精査を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はA-Repマウスの選別をin vivoイメージング等により行うために、セレンテラジン等の試薬代にかなりの費用を充てる予定であったが、研究目的に適したラインを見いだすことができず、経費が残ってしまう結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は出生後のホルモン濃度の検討など、より詳細な解析を行う費用に充てる他、組織学的解析の速度をより速めるための機器購入を検討したい。
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