研究課題
平成26年度では、5週齢のC57/BL雌雄マウス(F0)を1週間飼育、馴化させ、6週齢から各被検物質の1日摂取量(WHO、環境省・厚労省及び既報データを利用)を1とした時の10-1~103倍の5段階(雌雄別各群6匹で1グループ単位)の濃度で、粉末飼料(内分泌攪乱物質研究用飼料;オリエンタルバイオサービス)中に完全に均一に混合したものを、本試験期間中、連続的に自然摂取させた。摂取後から、隔週毎に雌雄マウスの尾静脈から血液100μl/匹を採血、均一に混合した後、試料を3分割し、a) 性ホルモンの定量を行った。その結果、TCDDやマイレックスでは17β-OH Andorosterone、Estradiol及びTeststeroneの増加が、一方、PCB153、ペンタクロロベンゼンやクロルデコンではPrognenoloneやAndorostendione等の著しい減少といった現象が観察された。すなわち、TCDDやマイレックスは、ステロイドホルモン合成代謝経路において肝薬物代謝酵素CYP17等の活性を促進的に作用させ、EstradiolやTeststeroneを増加させたのに対して、PCB153やペンタクロロベンゼンは、コレステロールを初発物質とする上記合成・代謝経路全体に抑制的に作用させたことが推察された。
2: おおむね順調に進展している
予想以上に、性ホルモンの高感度測定が確立したことより、マウスの微量の血液モニタリングが可能となったため、同時に採取してあるサンプルを用いて、他の生化学パラメーターを測定する予定である。
研究最終年度である平成27年度は、本研究課題の完全遂行を目指して、研究グループ内で過去2年間の計画の進捗状況を十分に精査、協議を行い、必要な修正を加えながら、精力的に研究を推進する。最終年度も同様に、検討対象物質の次世代健康影響試験を行う。また、過去2年間の検査結果において、顕著な恒常性攪乱(測定値の増加や現象及び異常現象)が観察された化合物を2種ずつ混合し、同様にマウスに自然摂取させて、種々の検討実施する。そして最終的に、人体・食品中に高頻度高濃度で検出される恒常性攪乱物質の健康影響評価の総括を行う。
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Environmenta Research
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