研究課題
平成27年度においては、平成25~26年度の研究成果として、臭素系難燃剤4臭素化ビスフェノールA(TeBBPA)によるマウス血中の性ホルモン、並びに4塩化ダイオキシン(TCDD)によるマウス血・糞中のサイトカインの、著しい変動がそれぞれ観察されたことより、これら健康有害物質に焦点を絞り、詳細な検討を試みた。まず、ヒト母乳中に高濃度で観察されたTeBBPAの脱臭素化体である3臭素化体のTriBBPAに着目し、同様な現象がマウスでも観察されるか否かについて検討を行った。また、代表者らの別の検討により、TeBBPAやTriBBPA等のビスフェノール化合物には、ペルオキシゾーム増殖応答性受容体(PPAR)に対する顕著なリガンド活性を有していることが判明したことから、これら化合物は、生体内の糖・脂質代謝系等の恒常性をかく乱する可能性が推察された。そこで、C57BL/6の雌雄マウス(8週齢)を用いて受精させ、その出仔マウスを雌に授乳により育てさせ、生後1週間目に剖検を行い、胃、胃内容物(母乳)、肝臓、心臓、腎臓、腸、腸内容物(糞)等を採取し、これら臓器・組織等中に蓄積しているビスフェノール化合物の定量を試みた。その結果、興味深いことには、マウスの胃内容物中には、TriBBPAが全く検出されず、ヒトのTeBBPAの代謝パターンとは全く異なっていることが認められた。次に、前年度に著しい免疫かく乱作用が観察されたTCDDについて、その長期連続経口投与による免疫かく乱作用の検討を行った。具体的には、免疫実験で汎用される雌のBALB/C(6週齢)を用いて、賦活化剤を用いないで、TCDDのみを0~500ng/kgの6段階の濃度で投与した結果、3週目以降から5ng/kg以上の投与群で糞中にIgAが、一方、血中にIgGの顕著な抗原(OVA)特異的な抗体産生が観察されるとともに追加免疫効果が認められた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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