研究課題/領域番号 |
25281039
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
惣田 訓 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30322176)
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研究分担者 |
池 道彦 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40222856)
黒田 真史 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20511786)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 膜分離活性汚泥法 / 標準活性汚泥法 / 微生物群集構造 / 炭素源資化能 |
研究概要 |
日本国内12か所の膜分離活性汚泥法(membrane bioreactor, MBR)を用いている下水処理場から採取した流入水および活性汚泥に含まれる微生物群集を、系統学的構造および炭素源資化能の観点からそれぞれ分析した。系統学的構造については16SrRNA遺伝子を指標としたterminal restriction fragment length polymorphism(T-RFLP)法を、炭素源資化能についてはBiolog法を用いた。 MBRと従来法(conventional activated sludge, CAS)における微生物群集の差異についての知見を得ることを目的として、大阪府内においてCASを採用している下水処理場から採取された11サンプルに含まれる微生物群集の系統学的構造および炭素源資化能との比較を行った。まず、系統学的構造を比較した結果、CASにおいては202 bpなど特定のピークが共通して優占しているのに対し、MBRでは主要ピークが処理場ごとに異なることが明らかとなった。また、PCAに供した結果を散布図にしても、MBRとCASは離れた位置にプロットされた。これらの結果は、MBRではCASに比べて多様な微生物が選択され優占しうることを示唆していると考えられる。 一方、炭素源資化プロファイルをPCAに供し散布図を作成したところ、4つのMBRは離れた位置にプロットされたものの、残りのMBRはCASと近い位置にプロットされたことが分かった。ここで、炭素源資化プロファイルが下水中に含まれているBODやCODといった有機物の分解能力を表現していると解釈すれば、MBRはCASとの系統学的構造の差異にもかかわらず、CASと類似した有機物処理の能力を有していると理解することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実規模MBRにおける細菌群集の解析は、計画通りに進行し、十分な成果が得られた。さらに膜表面に付着している微生物群集構造も解析中であり、ファウリング(膜の閉塞)に関連している微生物に関する知見も得られつつある。 一方、ラボスケールMBRによるPOPs除去のためのバイオオーグメンテーションでは、MBRの構築と試運転、導入細菌のモニタリング手法の開発までは達成できたが、実際のオーグメンテーションの実施には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平膜203型(幅226mm×高さ316mm、有効面積0.11m2/枚、公称孔径0.4μm)を設置したラボスケールMBRでPOPs含有廃水の処理実験を行う。ノニルフェノールポリオキシレートの工業原料として重要であるが、生体毒性が指摘されているTechnical nonylphenol (tNP)、同様に難分解性である4-t-butylphenol (4-t-BP)をモデルPOPsとして選択した。疎水性の高いNPの分析は容易ではないため、まずは、比較的親水性である4-t-BPを含有する模擬廃水の処理実験を行う。模擬廃水には、4-t-BPだけでなく、都市下水と同等の150 mg-C/Lの有機物を含む。MBRは、Sphingobium fuliginis OMIまたはSphingobium spp. IT-4を導入する系と導入しない対照系を作成する。なお、分解特性がより明らかとなっているOMI株をまずは用いるものとし、処理がどうしても不十分な場合は、代替策としてIT-4株を用いる。両細菌株は、tNPと4-t-BPのどちらも分解できる特性を有する。MBRで細胞を高濃度濃度に維持することができれば、数時間で十分な処理ができると期待している。ただし、廃水には4-t-BP以外の有機物が圧倒的に多いので、OMI株やIT-4株が活性汚泥の土着細菌との競合するため、廃水処理性能や運転操作の変化に伴う細菌群集構造の変遷を調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験室スケールの膜分離活性汚泥装置の作成を予定していたが、想定よりも安価に作成することができたため。 実験室スケールの膜分離活性汚泥装置の運転が遅れているため、その進行と微生物分析・化学分析に費用を重点的に充てるものとする。
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