研究課題
ラボスケールの膜分離活性汚泥リアクター(MBR)を運転し、微生物群集に対して解析を行い、その挙動に関する知見を得ることを目的とした。反応槽には底面150 mm×230 mm、高さ900 mmのアクリル製のものを有効容積24 Lとなるように使用し、膜分離には塩化ポリエチレン製、面積210 mm×297 mm、孔径0.4μmの浸漬型平膜2枚を用いた。運転開始後、汚泥濃度は徐々に上昇を続けていたが、5日目以降は上昇が止まってしまった。運転開始直後からpHは5以下の値を推移し続けており、汚泥の活性が損なわれた可能性がある。そのため10日目にNaOH溶液を用いてpHを7付近まで調整を行った。調整後、数日は7付近を推移したが、14日目以降は再び低下してしまったので、16日目から25日目までは同様に2MのNaOH溶液を用いて調整を行った。このpH低下の原因としては硝化によって硝酸が生じたことが挙げられたため、32日目より流入水組成から尿素を除き運転を行った。その後pHは7付近で安定して推移し、汚泥濃度も上昇傾向にあった。また、有機物除去率に関しても低pHの影響を受けていた。リアクター運転の際に引き抜いた汚泥を用いて、16SrRNA遺伝子を対象としたT-RFLP解析を行った。このT-RFプロファイルを基に主成分分析を行った結果、時間経過とともに群集構造が推移し、運転1ヶ月後以降には定常状態になっていることが示唆された。T-RFLP解析によって得たT-RFプロファイルを用いて、ウォード法にてクラスター解析を行った。pHの低下が見られたところ、及びpH調整を行ったところにてクラスターが分けられた。ラボスケールMBRリアクターの運転を約2か月間行った。その結果、pHを安定させることによって汚泥濃度の上昇や除去性能の向上が見られることが分かった。
3: やや遅れている
ラボスケールのMBRの立ち上げにトラブルが生じ、ブチルフェノールの処理とその分解菌のオーグメンテーションを実施できなかった。
ラボスケールのMBRの立ち上げに努力する。大学院博士後期課程、前期課程の学生が1名ずつ、研究補助を担当し、研究の遅延分を補う。
ラボスケールのMBRの立ち上げを速やかに行い、実施できなかったブチルフェノールの処理とその分解菌のオーグメンテーションに必要な試薬や実験器具などの物品費、実験補助の大学院生への謝金に使用する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)
J. Water Environ. Technol.
巻: 12 ページ: 99-107