研究概要 |
現有のベンゼン分解集積培養系において、Hadsa-Aの存在割合を引き上げるため、電気培養に関する検討を行った。電気培養装置を用いた培養実験に先立ち、培養における有機物分解反応を促進させる可能性を持つ電子メディエータについての検討を行った。電子メディエータの候補として、他の物質分解のための培養にも用いられているものとして、Anthraquinone-2-sulfonate(AQS), Neutral Red (NR), Methyl Viologen(MV), Fe(III)EDTA, Co(II)EDTAを用い、培養系に加えてベンゼン分解に与える影響を見た。その結果、AQS, NR, MVについてはベンゼン分解を阻害する結果となり、これらがベンゼン分解集積培養系には不適であることが明らかとなった。一方、Fe(III)EDTAではわずかにベンゼン分解の促進効果が、Co(II)EDTAでは明確な促進効果が見られた。これらの金属イオンが、ベンゼン分解の電子メディエータとして有効である可能性が示された。 また、ベンゼン分解集積培養系を用いて、セルソーティングによる1細胞分離を行い、Multiple Displacement Amplification (MDA)によりゲノムDNAをランダムに増幅した。増幅産物に対して16S rRNA遺伝子の配列を解読し、Hasda-A類縁の細菌が入ったウェルを特定した。 さらに、ヘリウムプラズマイオン検出器搭載の超高感度ガスクロマトグラフを購入し、培養系内の水素を計測する手法を確立した。少量のガスで水素を分析する方法の検討を行った。
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