研究課題
最終年度は、臭素系難燃剤(BFRs)の代替物質として急速に使用が増加しているリン酸エステル系難燃剤(PFRs)の分析法開発を試みた。PFRsの分析としては室内ダストが存在する一方、動物の組織試料については報告されておらず、脂質やタンパクなど血液に由来するマトリックス除去が高精度分析には不可欠となる。そこで、GPCによる高分子マトリックスの除去を検討した結果、完全な脂質の分画は困難であり、約16%が共溶出した。さらなる前処理法として数種のSPEカートリッジを検討した結果、ISOLUTE NH2 (Biota)による前処理法で良好な回収率とピーク形状が得られた。しかしながら、操作ブランクのピークが確認され、実際のペット血清からはブランク値を上回るPFRsの検出は不可能であった。今後、実験操作をすべてガラス器具でおこなうなど、操作ブランクの低減が課題となった。また、近年開発した高精度機器分析法を用いて遊離型甲状腺ホルモン濃度をペットの血清で測定し、PCBsやPBDEsだけでなくそれらの水酸化代謝物のOH-PBDEsおよびOH-PCBsの血中レベルとの関係を解析した結果、いつくかの異性体において濃度依存的な甲状腺ホルモンレベルの減少が認められ、健康影響が懸念された。とくに、室内ダストや餌から主要なBFRsとして検出されるBDE209の寄与が大きいことが示唆された。さらに、イヌおよびネコの血清(プール試料)をin vitroバイオアッセイに供試し、アンドロゲン受容体(AR)、エストロゲン受容体α(ERα)、プロゲステロン受容体(PR)、ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体γ2(PPARγ2)のアゴニストおよびアンタゴニスト活性を評価した結果、イヌ血清ではERαとPPARγ2アゴニスト活性、ネコ血清ではPPARγ2アゴニスト活性が示され、寄与(未知)物質の存在が推察された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Environmental Science & Technology
巻: 50 ページ: 444-452
10.1021/acs.est.5b04216