研究課題
土壌動物の群集構造を理解するために、日本産ワラジムシ類の標本データを構築しweb公開を行うとともに、マクロスケールにおける種の分布制限要因を推定した。また、分子系統地理学的手法によりワラジムシ類とサソリモドキ類の多様化には過去の地形が大きく影響をしていることを明らかにした。景観スケールにおける分布要因解析では、局所要因だけでなく周辺の土地利用様式もまたワラジム類の分布に影響を及ぼすことを示唆した森林を伐採すると、土壌有機物の分解が振興し、土壌炭素の同位体による年齢が高くなった、森林で土壌を攪乱するとその影響は6年たっても大きく残り、土壌生態系が攪乱の影響を長期にわたって受けることがわかった。通常の耕起栽培による土壌と、不耕起・草生、不耕起・草マルチの処理を行った土壌において、土壌生物群集および窒素無機化、炭素隔離などの測定を行った。その結果、不耕起化と草生、草マルチを加えることで作物の生産量は減少せず、土壌中の物質循環や作物の根の食害などが軽減されることが予測された。耕起よりも不耕起のほうが、窒素無機化ポテンシャルは高く、硝酸態よりアンモニア態で保持されている傾向があった。不耕起化によりミミズやその他の土壌動物、および微生物バイオマスが増加し、特に内生菌根菌のマーカーが増加した。根食性昆虫は不耕起土壌でも生息していたが、飼育実験で根だけでなく腐植を食べさせると成長がよくなったことから、有機物の少ない土壌で除草をすることにより根の食害が高まると推測できた。土壌の攪乱を減少させ、土壌表面を覆い、有機物の供給を増やすことで土壌生物群集の現存量、多様性を高めることで植物による窒素利用の効率が向上し、根への食害を防ぐことで、作物の生長が維持されることがわかった。これらの研究から、土地利用にあたって土壌食物網の構造を調べることが、持続可能な生産に向けて基礎データと成ることがわかった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)
Canadian Journal of Soil Science
巻: - ページ: -
10.1139/CJSS-2015-0063
Edaphologia
巻: 98 ページ: 11-19
巻: 98 ページ: 000
Soil Science
巻: 181 ページ: 68-74
10.1097/SS.0000000000000140
Plant and Soil
巻: 392 ページ: 205-214
10.1007/s11104-015-2453-1
Zoological Science
巻: 32 ページ: 352-363
10.2108/zs140263
Agriculture, Ecosystems and Environment .
巻: 200 ページ: 42-53
10.1016/j.agee.2014.09.011
Japan Applied Soil Ecology.
巻: 89 ページ: 50-58
10.1016/j.apsoil.2014.12.010
Entomological Science
巻: 18 ページ: 295-312
10.1111/ens.12128
Functional Ecology
巻: 29 ページ: 423-429
10.1111/1365-2435.1235
科学
巻: 85 ページ: 1090-1095
土と微生物
巻: 69 ページ: 25-30