研究課題/領域番号 |
25281060
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中田 俊彦 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20260416)
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研究分担者 |
古林 敬顕 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40551528)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エネルギーシステム / 再生可能エネルギー / 地理情報 |
研究概要 |
本研究では、東南アジア各国を対象として、(1) バイオマス資源の賦存量の現況調査と将来ポテンシャル評価、(2) エネルギー変換技術の現況調査と将来ポテンシャル評価、(3) 多層リレーショナルデータモデルの開発(地勢データベースの作成)、(4) 社会・経済的側面を含めた統合評価を行った。 当該年度は、(3)を行った。地域のバイオマス資源賦存量、交通ネットワーク、施設配置、需要分布等からなる、地理情報データベースの設計手法を構築した。バイオマス資源の散在密度を表す点データ、土地利用状況を表す面データ、河川や陸運による運輸インフラを表す線データ等、属性の異なる多様な数値情報を、デジタル処理してレイヤー構造で整理した。 バイオマスデータ間の属性を要因分析すると共に、おもに船舶による国際取引を考慮した場合のロジスティクスの基礎データモデルを作成した。陸路及び海路による地域間の輸送ルート、資源輸送又はエネルギー転換後によるルート選択、それに伴い必要となる貯蔵や流通インフラの配置など、バイオマスの流通に関わる経済性、エネルギー効率を参照して、対象地域に適合する定量データモデルを作成した。 国際輸送を行う場合、生産国内で資源を乾燥、加工してエネルギー密度を高くすることによって、輸送に要するエネルギー消費量を削減することができ、また、船舶による輸送はトラック輸送に比べて単位重量あたりの輸送に伴うエネルギー消費量が少ない。そのため、生産国内での未加工の資源の輸送に伴うエネルギー消費量を削減することが重要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、最適な地域エネルギーシステムのデザインを目的として、以下のように段階的に行う。(1)対象地域の基礎データベースとエネルギーマップの作成、(2)地域を対象としたスマートエネルギーシステムの設計、(3)東北地方の市町村を対象とした社会実装支援。 当該年度では、(1)を行った。はじめに市町村スケールのエネルギーマップを作成した。実際の地理情報を基に、木質バイオマスや太陽光等の再生可能エネルギーの賦存量及び利用可能量、電気と熱に分類したエネルギー需要量をレイヤーとして追加したデータベースを作成し、対象地域のエネルギーバランスと地理情報を結合させてマップとして図示した。当初の計画では、当該年度は地域のエネルギー賦存量及び需要量をデータベース化する予定であったため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
エネルギーの量に着目した前年度に続き、技術に着目したデータベースを構築する。家庭や事業所等に設置する燃料電池や太陽光発電等、また、ゴミ焼却場や下水処理場等の排熱を利用する熱供給システム等、小規模分散型のエネルギー機器の導入ポテンシャルを示し、データベース化して地理情報を基にマッピングする。 また、作成したデータベース及びエネルギーマップを用いて、地域を対象としたスマートエネルギーシステムの設計手法を構築して、再生可能エネルギー等の分散型エネルギーの運用特性を解析する。 研究を遂行する上での問題点として、地方都市をはじめとする市町村のエネルギーに関する統計データが非常に少ないことが挙げられる。本研究では、東北地方の各地方自治体等と連携した実績がある中田が主となり、対象地域のフィールド調査及び類似する地域からの推算によって基盤データを作成した。推計した地域の実測データが入手できた場合、実測データに差し替えるとともに、推計値と実測値の差異を明らかにして、他の地域の推計に活用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
地域フィールドのデータ分析量が膨大のため、予測を超えた処理時間を要した。そのため、それに続く評価研究への移行に遅延が生じた。 データ分析に熟練してきたので、次年度は計画通りの進捗を予定している。
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