研究課題/領域番号 |
25281060
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中田 俊彦 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20260416)
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研究分担者 |
古林 敬顕 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40551528)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域エネルギー / エネルギーシステム / 最適設計 / 熱需要 / 再生可能エネルギー / 空間情報 / 地理情報 / 低炭素社会 |
研究実績の概要 |
本研究では、地域データを取得してエネルギーの賦存量及び需要量、大規模システムとの連携等に関するデータベースを作成し、地域特性を考慮した設計手法を構築する。また、構築した手法を対象地域に適用し、大規模システムと小規模システムを統合した、最適な地域エネルギーシステムをデザインする。中長期シナリオを解析し、2050年までの地域エネルギーバランスの変遷を示す。さらに、得られた結果を青森県弘前市、岩手県宮古市、宮城県山元町、山形県最上町等のスマートコミュニティ構想の詳細設計に反映し、地域実装に資する。 当該年度は、前年度に作成した地域のエネルギー賦存量及び需要量のデータベースに続き、技術に着目したデータベースを構築した。ゴミ焼却場や下水処理場等の排熱を利用する地域熱供給システムの導入ポテンシャルを示し、データベース化して地理情報を基にマッピングした。また、地理情報や再生可能エネルギーの賦存量、電力及び熱の需要量等を考慮した、地域エネルギーシステムの設計手法を構築した。構築した手法を用いて、対象地域の1時間ごとの電力及び熱の需要量を満たす地域熱供給システムを設計して、分散型エネルギーや熱供給ネットワークの導入条件等を定量評価した。 地域社会のケーススタディとして、青森県弘前市、岩手県宮古市、岩手県大船渡市、山形県最上町を対象とする設計を進めた。その成果は、各自治体に報告して低炭素社会づくりや地域エネルギービジョンづくりに反映されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、最適な地域エネルギーシステムのデザインを目的として、以下のように段階的に行う。(1)対象地域の基礎データベースとエネルギーマップの作成、(2)地域を対象としたスマートエネルギーシステムの設計、(3)東北地方の市町村を対象とした社会実装支援。 当該年度では、(1)及び(2)を行った。前年度に作成した市町村スケールのエネルギーデータベース及びエネルギーマップの精度を向上させた。作成したデータベース及び実際の地理情報を基に、地域を対象としたスマートエネルギーシステムの設計手法を構築した。さらに、青森県弘前市や岩手県大船渡市、山形県最上町を対象として、地域熱供給に着目した地域エネルギーシステムを設計した。 当初の計画では、当該年度は要素技術のデータベースを作成して、地域を対象としたスマートエネルギーシステムを設計する予定であったため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに作成したデータベース及び構築した手法を用いて、気候特性、産業構造、人口密度、エネルギーインフラ等、様々な地域特性を考慮したエネルギーシステムの最適設計を行う。既存のエネルギーシステムと比較して、一次エネルギー消費量と資源構成の変化、地域資源の利活用による地域経済への波及効果を考慮した経済性、温室効果ガス排出量、大規模システムからのエネルギー供給が途絶した場合の社会セキュリティ等を定量的に示す。 また、得られた結果に基づくスマートエネルギーシステムを、スマートコミュニティの詳細設計に反映する。地域資源を利活用する分散型エネルギー機器を導入し、大規模エネルギーシステムと連携する地域エネルギーシステムを設計、導入することで、低炭素化と社会セキュリティの向上に資する。 研究を遂行する上での問題点として、地方都市をはじめとする市町村の統計データが非常に少ないことが挙げられる。本研究では、東北地方の各地方自治体等と連携した実績がある中田が主となり、対象地域のフィールド調査及び類似する地域からの推算によって基盤データを作成した。推計した地域の実測データが入手できた場合、実測データに差し替えるとともに、推計値と実測値の差異を明らかにして、他の地域の推計に活用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィールド調査に予定していたデータベースソフトウェアを、従来から保持していた在来型モデルを使用して実施した。購入予定であったソフトウェアのバージョンアップ発売が遅れたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
データベースソフトウェアのバージョンアップ発売が今年度中に実施され次第、購入して本研究に用いる予定である。
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