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2014 年度 実績報告書

逆電気透析発電システム用モノリシック発電セルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 25281064
研究機関山口大学

研究代表者

比嘉 充  山口大学, 理工学研究科, 教授 (30241251)

研究分担者 遠藤 宣隆  山口大学, 理工学研究科, 助教 (40314819)
垣花 百合子  神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (90592014)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード濃度差エネルギー / ポリビニルアルコール / ブロック共重合体 / イオン交換膜 / イオン交換容量 / 膜抵抗 / イオン選択性
研究実績の概要

高性能なRED発電セルの構築には荷電層だけではなく、流路構造が重要となる。送液圧損や流路汚染、及び河川側の流路抵抗の低減、REDスタック部品点数の50%減少によるメンテナンスコスト低減、溶液漏れ防止、などを目的としてモノリシック発電セルの形成および従来のセルおよびモノリシック発電セルの構造解析と基礎特性評価、及び実際に近い稼働条件での発電試験を行った。
REDスタックは、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に重ねたものを1 対とし、対数を20 対、イオン交換膜一枚当たりの有効膜面積を88 cm2、膜間距離を0.5 mmとした小型自作スタックと、イオン交換法電気透析セルAC-10-200型(アストム社製)を改修した大型スタック(有効膜面積0.1m2、膜間距離0.6mm)を作製した。
小型・大型スタック共に、模擬海水と模擬河川水の濃度比rに対する最大出力密度PDは、rの減少に伴い増加し、r=15~30付近で最大出力密度(PDmax)を示し、rは最適値を有することを確認した。これに対し、淡水側の膜間距離dに対するPDは、dが低いほど増加した。また、大型スタックは小型スタックと比較して20%低いPDmaxを示した。これはセル中における濃度変化による大きさが大型スタックにおいて顕著に表れたことを示すと考えられ、大型スタックでは短い流路構造にすることで改善が期待できる。
また、シミュレーションによる出力試算も行い、セル構造・膜特性・発電条件の最適化を進めることで発電特性の向上および低コスト化の検討を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

モノリシック型セルの試作と大型スタックの構築、従来型およびモノリシック型の小型スタックの構築を行い、種々の条件で発電特性試験を行うことで、発電条件およびセル構造における影響評価を順調に進めている。
また、シミュレーションによる出力試算も行い、セル構造・膜特性・発電条件の最適化を進めることで発電特性の向上および低コスト化の検討も進めており、順調に進展している。

今後の研究の推進方策

高性能なRED発電セルの構築には荷電層だけではなく、流路構造が重要となる。送液圧損や流路汚染、及び河川側の流路抵抗の低減、REDスタック部品点数の50%減少によるメンテナンスコスト低減、溶液漏れ防止、などを目的として作製したモノリシック発電セルを用い、その構造解析と基礎特性評価、及び実際に近い稼働条件での発電試験を行う。
(1)淡水と模擬海水の濃度や運転条件を変化させ、REDモジュールの性能及び発電特性の評価を行う。これらの結果から、REDモジュール内部の濃度分極による影響を評価し、モジュール構造及び運転条件の最適化を検討する。
(2)(1)の実験系の海水側と河川水側の溶液をNaClだけではなく実際の系に近い電解質組成にし、さらに模擬汚染物質としてフミン酸、アルギン酸、界面活性剤を加えた場合での荷電層及び流路の汚染状態と発生出力との関係を調べる。
(3)(1)の評価結果に基づき、REDモジュール内の塩濃度や圧力損失等を分析することで、このモジュールの発電出力、エネルギー効率を算出し、その結果に基づいてシステム全体の発電コストを算出する。
(4)1つのREDモジュール内における発電セル数を変えて種々の条件での発電試験を行い、その発電コストを評価する。また1つのREDモジュールから排出された海水側溶液、河川側溶液を別のREDモジュールに供給して発電する多段REDシステムを想定した場合の各段における発電コストとシステム全体の発電コストを(3)の結果から算出して、発電コストが最少となるRED段数とその時の最適条件をシミュレーションから検討する。これらの結果に基づいて大規模化発電システムの試算を行い、実証プラントの検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

大型セルスタックの改修が遅れたため、本年度は小型セルスタックによる評価を集中的に行った。その結果、試薬の使用量などが想定より少なかったため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

本年度に引き続き、セルスタックの構築およびその評価試験を行うが、大型セルスタックによる測定や、模擬汚染物質を用いた試験を行う予定であり、膜作製および評価試験に用いる試薬量が増大すると考えられるため、その費用に充てる。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Electrodialytic properties of aromatic and aliphatic type hydrocarbon-based anion-exchange membranes with various anion-exchange groups2014

    • 著者名/発表者名
      Mitsuru Higa, Nobuyuki Tanaka, Minami Nagase, Kazuhiro Yutani, Tomokazu Kameyama, Keita Takamura, Yuriko Kakihana
    • 雑誌名

      Polymer

      巻: 55 ページ: 3951-3960

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.polymer.2014.06.072

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characterization of cation-exchange membranes prepared from a graft-copolymer consisting of a polysulfone main chain and styrenesulfonic acid side chains2014

    • 著者名/発表者名
      Yuriko Kakihana, Yoshiaki Ogawa, Keita Takamura, Naoki Kawamura, RyosukeHara, Mitsuru Higa
    • 雑誌名

      Electrochimica Acta

      巻: 129 ページ: 120-126

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.electacta.2014.02.036

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 逆電気透析発電の技術開発動向2014

    • 著者名/発表者名
      比嘉 充,渋谷 真史
    • 雑誌名

      日本海水学会誌

      巻: 68 ページ: 293-297

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 塩分濃度差発電とは2014

    • 著者名/発表者名
      比嘉 充
    • 雑誌名

      電気計算

      巻: 82 ページ: 33-38

  • [学会発表] 新規PVA系ブロック共重合体を用いた陰イオン交換膜の作製と膜特性評価2015

    • 著者名/発表者名
      水野泰子
    • 学会等名
      日本海水学会若手会第6回学生研究発表会
    • 発表場所
      登別グランドホテル(登別市)
    • 年月日
      2015-03-09 – 2015-03-10
  • [学会発表] 電気透析におけるPVA系陰イオン交換膜のファウリング挙動の解析2014

    • 著者名/発表者名
      阿武 真梨香
    • 学会等名
      第52回高分子と水に関する討論会
    • 発表場所
      東京工業大学(目黒区)
    • 年月日
      2014-12-09 – 2014-12-09
  • [学会発表] OptimizationofOperatingConditionsinaLargeReverseElectrodialysisSystem2014

    • 著者名/発表者名
      竹村 仁
    • 学会等名
      第10回分離技術国際会議
    • 発表場所
      奈良県新公会堂(奈良市)
    • 年月日
      2014-10-30 – 2014-11-01
  • [学会発表] PreparationandCharacterizationofCation-ExchangeMembranesfromPoly(VinylAlcohol) BasedBlockCopolymers2014

    • 著者名/発表者名
      阿武 真梨香
    • 学会等名
      第10回分離技術国際会議
    • 発表場所
      奈良県新公会堂(奈良市)
    • 年月日
      2014-10-30 – 2014-11-01
  • [学会発表] 逆電気透析発電の技術開発動向2014

    • 著者名/発表者名
      比嘉充
    • 学会等名
      日本海水学会第65年会シンポジウム
    • 発表場所
      沖縄県男女共同参画センター「てぃるる」(那覇市)
    • 年月日
      2014-06-20 – 2014-06-20
    • 招待講演
  • [学会発表] 逆電気透析における一体型スペーサーの開発と発電特性評価2014

    • 著者名/発表者名
      竹村 仁
    • 学会等名
      日本海水学会第65年会
    • 発表場所
      沖縄県男女共同参画センター「てぃるる」(那覇市)
    • 年月日
      2014-06-18 – 2014-06-20
  • [学会発表] 逆電気透析システムのシミュレーション:正味出力密度におけるPRO との比較2014

    • 著者名/発表者名
      阿武 真梨香
    • 学会等名
      日本海水学会第65年会
    • 発表場所
      沖縄県男女共同参画センター「てぃるる」(那覇市)
    • 年月日
      2014-06-18 – 2014-06-20
  • [学会発表] 新規ポリビニルアルコール系ブロック共重合体を用いたイオン交換膜の作製と特性評価2014

    • 著者名/発表者名
      阿武 真梨香
    • 学会等名
      平成26年度繊維学会年次大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(江戸川区)
    • 年月日
      2014-06-11 – 2014-06-13

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公開日: 2016-06-01  

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