研究課題/領域番号 |
25281065
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
南齋 規介 独立行政法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 室長 (80391134)
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研究分担者 |
加河 茂美 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20353534)
小口 正弘 独立行政法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 研究員 (20463630)
橋本 征二 立命館大学, 理工学部, 教授 (30353543)
近藤 康之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80313584)
谷川 寛樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90304188)
中島 謙一 独立行政法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (90400457)
東野 達 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (80135607)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マテリアルフロー分析 / 国際産業連関分析 / ネットワーククラスタリング / 固定資本内生化モデル / フットプリント |
研究実績の概要 |
本年度は日本の生産消費構造を詳細化した国際産業連関分析モデルであるGlobal link input-output model (GLIO)に推計した世帯属性別の家計消費将来需要を付与し,日本の家計消費に起因する消費者基準GHG排出量の将来推計を行い,2035年では1061Mt-CO2eqとなった(2005年比で4.2%減)。世帯間の消費者基準排出量を比較すると,世帯収入が最も高い50代を世帯主とする世帯よりも,40代を世帯主とする世帯からの排出量が最も多く,購入する財やサービスの炭素集約度の違いが反映された結果を得た。また,固定資本需要の将来推計のため,固定資本行列の内生化手法を採用し,家計消費需要に連動した固定資本需要の部門別推計を試みた。しかし,道路・港湾整備といった土木工事需要については内生化ではなく,別途モデル化する必要性を確認した。更に,日本の消費者基準の資源消費量を算定するため,GLIOに金属資源の国際マテリアルフローデータを組み込み,日本の最終需要が誘引する金属資源採掘量(マテリアルフットプリント)を推計した。加えて,マテリアルフットプリントに採掘国のリスクを内包する採掘リスクフットプリントの開発を行った。なお,新エネルギー技術に利用されるレアメタル(ネオジム,コバルト,プラチナ)を対象とした。一方,金属資源の国際マテリアルフローのネットワーク構造に注目し,ネットワーク分析による中心性分析やクラスタリングを試み,日本の最終需要が依存する資源の国際貿易構造の特性を理解するための方法論を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本の消費者基準のGHG排出量については家計消費需要に着目した長期予測結果を学術論文として公表し,資源需要については現況の解析と採掘リスクを内包する方法論の開発に成功した。固定資本需要については,新たな推計方法を適用することで家計消費と整合的な将来需要を得る見込みが立っており,着実に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
発電構成変化,新エネルギー技術の普及に着目した国内サプライチェーン構造の将来推計として,「国内サプライチェーン」について,震災後の影響を受けた発電構成の変化と新エネルギー技術の普及に焦点を当て,2050年への国内サプライチェーンの変化をモデル化する。加えて,2050年に向けた将来予測と耐久財の長寿命化に着目したシナリオ分析として,耐久財と消費財の将来需要に基づき,2005年から2050年までの消費者責任論によるGHG排出量および金属資源消費量を算出する。財の種類ごとに,GHG排出と資源消費をどの国へどれだけ誘発するかを詳細に解析し,経年的変化の特徴を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究結果をまとめて国際学術誌へ投稿する準備を年度末に進めていたが,提出準備に時間を要したため,3月末までに翻訳・英文校閲の費用を支出することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学術誌に向けた論文の翻訳・英文校閲が終了次第速やかに支出する。
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