研究課題/領域番号 |
25281066
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
森 利之 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (80343854)
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研究分担者 |
ヤン ペンフェイ 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (20596556)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 低炭素社会 / グリーンエネルギー / ガドリウムドープドセリアナノワイヤー / 欠陥界面 / 電極性能 / 燃料電池デバイス / 高温水蒸気電界デバイス |
研究概要 |
平成25年度に計画した予備実験として、白金(Pt)-CeOx界面を作製し、この界面を多数有する電極を作製したうえで、その電極を水素極として用いて、中温(500℃以下)作動水蒸気電解セルを作製し、その性能評価を行った。その結果、作製したデバイスは、固体電解質の厚みを0.5mmと同じにしたイットリア安定化ジルコニアを固体電解質として用いた高温水蒸気電解セルの800℃における性能を、500℃付近において示すことが明らかになった。 さらに、平成25年度には、電極層内の3相界面を大幅に増加させる目的で、固体電界質と同じ組成の10atom%Gdドープドセリアナノ粒子のかわりに、結晶性がよく、直径2nmから10nm程度、アスペクト比 数百程度の10atom%Gdドープドセリアナノワイヤーの合成と、この10atom%Gdドープセリアナノワイヤー上に微少量(5wt%)Ptを担持したPt担持Gdドープセリアナノワイヤーの作製にも成功している。この電極材料の結晶相の確認は、X線回折試験ならびに、透過電子顕微鏡の制限視野電子回折図を用いることで確認し、あわせてドーパント量は、透過電子顕微鏡に付属したエネルギー分散型X線分光法の元素分析により確認した。くわえて、5wt%Pt担持Gdドープセリアナノワイヤーの界面についても、同じく分析透過電子顕微鏡を用いて観察し、所望の界面が形成されていると考察した。 Pt担持Gdドープドセリアナノ粒子のかわりに、5wt%Pt担持Gdドープセリアナノワイヤーの作製に成功したことで、この5wt%Pt担持Gdドープセリアナノワイヤーには、これまで以上に多量のPt-CeOx界面が形成されていることが期待され、高温水蒸気電解デバイス水素極または、酸化物燃料電池デバイス内アノード上における電極性能及びそのデバイス性能の大幅な向上が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画実施当初は、Pt-CeOxナノ粒子界面を、燃料電池内アノード層内または、高温水蒸気電解セル水素極層内に多量に形成させることで、上記デバイス性能の向上を試みた。予備的検討の結果、Pt-CeOxナノ粒子を、水蒸気電解セル水素極層内に使用することで、従来から検討がなされている、Ni-安定化ジルコニアサーメット電極を用いたイットリア安定化ジルコニア高温水蒸気電解セルの800℃における性能と同等の性能を、500℃という低温において確認することができた。さらに、微少量Pt担持Gdドープドセリアナノワイヤーの作製に成功したことで、このGdドープドセリアナノワイヤー内部では、酸化物イオンが高速で拡散し、表面では電荷移動が円滑に行われることが期待され、あわせて、ガドリウムドープドセリアナノワイヤーを酸化ニッケルと混合して電極層を作製することで、燃料電池電極反応及び水蒸気電解セル反応を十分に促進させる、アノード層及び水素電極層の作製が期待される。 界面の微細構造観察結果に基づく、ワークステーションを用いた欠陥構造シミュレーションを行うことはできなかったが、研究計画当初にはない、ユニークな研究成果が得られており、次年度以降における、さらなる研究の発展が期待されることから、上記の自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究成果を基に、平成26年度では、ガドリウムドープドセリアナノワイヤー上に形成されたPt-CeOx界面のキャラクタリゼーションと、電極性能の関係を検討することを通して、その界面構造の最適化を行ったうえで、中温(500℃以下)作動燃料電池単セルデバイスおよび水蒸気電解セルデバイスを作製し、それらのセル性能の向上に及ぼす、電極界面構造最適化の効果を検討する。 その結果を踏まえて、ガドリウムドープドセリアナノワイヤーに、より均一かつ広範囲に、3相界面機能を有するPt-CeOx界面を作製し、電極性能の一層の向上と、上記デバイスの性能向上への作成した界面の寄与を増やす目的で、昨年度とは、界面の作製手法をかえ、塩化白金酸水溶液中に、ガドリウムドープドセリアナノワイヤーを高分散させた懸濁液に、ガラスキャピラリー収束イオンビーム法を用いて、放射線を照射し、ガドリウムドープドセリアナノワイヤー上に吸着した塩化白金酸を放射線のエネルギーで還元することで、Pt-CeOxクラスターを、大量にガドリウムドープドセリアナノワイヤー上に形成させる(ガドリウムドープドセリアナノワイヤー表面の改質に相当する)ことを検討する。 この検討により、実際に電極に使用するPt量は、昨年度の数十wt%から数wt%の範囲から、0.01wt%程度まで低減させることが可能であり、そのうえで、なおかつ、昨年度の性能と比べて、勝るとも劣らない性能をもつ、Pt-CeOxクラスターで表面を覆われたガドリウムドープドセリアナノワイヤーの作製を目指す。その他の電極界面のキャラクタリゼーションや、界面における電荷移動現象考察のためのシミュレーションは予定どおり実施し、その結果を基に、高性能中温(500℃以下)作動燃料電池単セルデバイス及び水蒸気電解セルデバイスの作製を行う。
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