研究課題
平成26年度は、昨年度の結果を基に、ラザフォード後方散乱法により、マグネトロン・スパッタ法を用いた微量酸化白金(PtOx)のスパッタ膜の厚みと、その中に含まれるPt量の関係を調べ、あわせて、スパッタ条件の最適化をおこなうことを試みた。その結果、わずか0.8ppm(アノード層内全構成成分に対する割合)のPtOxを、NiO-イットリア安定化ジルコニア・アノード上にスパッタし、水素還元をすることで、動作温度700℃の中温域において、イットリア安定化ジルコニア(ZrO2)を固体電解質に用いた酸化物形燃料電池(SOFC)発電性能試験において、セル電圧0.8Vで200mAcm-2以上の性能(IR-Free)を得ることに成功した。また、性能安定性試験においても、100時間程度までの性能安定性試験において、安定な性能を確認することができた。このように、わずか1ppm程度の微量PtOxを、NiO-イットリア安定化ZrO2・アノード上にスパッタすることで、燃料電池電極性能の向上を可能にしたPt-安定化ZrO2界面の特徴を明らかにする目的で、集束イオンビーム法を用いて、電極層内電極/固体電解質界面の薄片を切り出し、透過電子顕微鏡による、界面欠陥構造観察を実施した。まだ、予備的観察の段階であるものの、水素還元後のアノード層内において、安定化ZrO2上にあるNi粒子の粒界に、白金と思える1nm以下の微粒子が連なって存在する可能性があることが、HAADF-STEM像から観察された。通常は、1から5nm程度の白金微粒子を、800℃付近の温度で水素還元処理をおこなうとPtの焼結がすすみ、数十μmの大きさまで粒成長を起こすことが知られているが、そうした痕跡は全くなく、アノード層内に、極めてユニークな界面構造が形成されたと考察した。以上のように、今年度の検討結果から、ステンレス・スティールをインターコネクターに用いた、高性能SOFCスタック開発への道を拓く、高性能極微少量白金-安定化ZrO2界面を有する電極層の作成を達成した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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