研究課題/領域番号 |
25281070
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研究機関 | 東北芸術工科大学 |
研究代表者 |
田口 洋美 東北芸術工科大学, 芸術学部, 教授 (70405950)
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研究分担者 |
高橋 満彦 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (10401796)
池田 透 北海道大学, 文学研究科, 教授 (50202891)
佐々木 史郎 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (70178648)
伊吾田 宏正 酪農学園大学, 農学生命科学部, 准教授 (60515857)
鬼頭 秀一 星槎大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40169892)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 都市防衛システム / 生息フロンティア / アーバン・ワイルドライフ / 合意形成 |
研究実績の概要 |
本研究は野生動物の適正な保護管理と都市空間における共生型の防衛システムを複合領域的環境学の視座から構築するとともに、現代市民社会の合意の元で実践しえる理念構築を目指す。特に近年多発傾向を示す地方都市、市街地周辺における大型野生動物の出没問題に関する人為的な要因を近代環境史の視点から究明し、野生動物の保護管理問題に苦慮する海外の都市の実情を検証し、国内の地方都市における保護管理議論にフィードバックさせ、法制度的枠組みと現実的防衛システムの構築へ向けての基礎研究を実施する。 平成26年度は6月に研究分担者および協力者との全体会とアーバン・ワイルドライフ研究会を開催し、研究の進捗状況を確認するとともに研究の方向性を検討した。この結果、当初見込んでいた都市工学、都市デザインとの連携の前に地方都市および周辺部における外来種問題、公衆衛生の知見、都市計画法に基づく市街化区域における野生動物の出没事例のデータの取りまとめを急ぐ必要があることを確認しこれを補うことにした。 研究活動としては、上記データの収集と国内における現地での出没事例調査を行うとともに、8月にケニア、タンザニアにおけるワイルドライフ・サービス、都市および国立公園周辺での軋轢問題を調査した。10月に研究代表者がアメリカ合衆国アイオア州のアイオア大学にて研究課題に関する研究発表、日本民俗学会で講演、研究発表等を行った。また研究メンバーがコロラド州ロッキー山脈国立公園のエステスパークで開催された「ヒューマン・ディメンション国際学会」で研究発表を行うなど精力的に本研究課題の研究調査と中間での成果発表を並行して行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績概要に記したように都市工学、都市デザイン分野との連携の準備が遅れている他はおおむね計画に沿って進展している。特に都市防衛システムに関する研究者間の現状認識と手法上の相互理解が深まり、法制度的枠組みと現実的防衛システムの構築へ向けての基礎研究という本研究課題が具体的活動として形を成してきたといえる。中でもアフリカとアメリカ等の海外事例、国内における都市周辺の事例研究については当初の予測よりも多くのデータを入手できたと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
現状において工学系研究者との議論を具体的に進展させるため都市計画法や河川工学、応用生態工学などの研究者との連携を進める必要があり、最終年度となる27年度の大きな課題となっている。このため協力を要請する研究者の人選を急ぎ、6月27・28日(山形市)に開催される「ブナ林と狩人の会:マタギサミット」および7月25日に東京大学で開催する本研究課題シンポジウムまでに工学系研究者との連携を実現したい。また本研究課題の次なる展開に関する議論を進め、アーバン・ワイルドライフ研究と都市防衛システム構築議論の普及啓発を急ぎたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額の繰越をみた。これは当初予定していた旅費および物品が少額で済んだためである。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度である本年度内に調整、消化する。
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