研究課題/領域番号 |
25282004
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
岡本 誠 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (90325887)
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研究分担者 |
秋田 純一 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (10303265)
伊藤 精英 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (90325895)
小野 哲雄 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (40343389)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ユーザインタフェース / 視覚障害者 / 聴覚障害者 / 体性感覚 / 触覚 |
研究実績の概要 |
本研究は,視覚障がい者や聴覚障がい者,あるいは健常者が,触感や音感を拡張してランドスケープやサウンドスケープを形成できる環境知覚のユーザインタフェース(以下UI)を研究している.人の体性感覚(触覚・関節覚等)を用いて人が環境を認識できる装置を考案し開発した. 1. Future body surface:距離情報を皮膚の収縮感覚に変換するUIを開発した.赤外線距離センサーにより距離を計測し, 利用者と物体の距離を皮膚のゆがみに変換する装置 Future body surface(以下FB-surface)を構築した.FB-surfaceは,複数の距離センサで取得した距離情報を頭部に設置したUI部の変形(伸縮等)によって人に伝える装置である.実験の結果,対象物の存在や方向は一定程度理解することが出来たが,近接度合いの認識にまだ課題があることが分かった.皮膚と装置の接面や伝達方法などの課題を修正する必要がある. 2. Dynamic clothes:距離情報によって服を変形させ間接的に皮膚に距離情報を伝えるUI Dynamic clothesを構築した. Dynamic clothesは,赤外線距離センサーにより距離を計測し, 利用者と物体の距離を皮膚に接する服ゆがみに変換する装置である.歪みを発生させるユニットは,着脱可能であり,衣服の複数箇所に取り付ける事ができる.皮膚との節面を安定させる改良が必要である. 3.HAPTICATION:視覚障害者と晴眼者が触覚を介して表現し合える環境を構築した.これは,障害を抱えた人がこのモノ作りのプロジェクトに参加する為の参加型デザインの手法とツールであり,晴眼者が障害者の考えやfeelを理解するためのツールである.これらの成果は,今年度の日本デザイン学会やヒューマンインタフェース学会の論文としてまとめる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進んでいるが,昨年度の試作で解決できなかったいくつかの事項を再検討して改良を加えたい.昨年度は研究スタッフが不足していたが,今年度は新しい研究メンバを加え開発に取り組んでいく計画である.
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今後の研究の推進方策 |
視覚障がい者等が環境認識するUIの研究では,昨年のFB-surfaceやDynamic clothesの改良を行う,特に人の皮膚への伝達の方法や理解の仕組みを検討する,最終的に操作者が包囲的な距離感を理解できるUiの構築を目指す.また,聴覚障がい者等の音環境認識UIの研究では,ONTENNA(音環境を頭髪等を介して理解する)やmimi(手や指を使って音を聞くシステム)の改良を行い,体性感覚の環境認識の可能性を検討する.また,体性感覚を用いたUIの成果(Future Body FingerやONTENNA等)や障害者をデザインプロセスに参加させるデザインプロセス(Crieitive KitやHAPTICATION等)の成果を論文等として発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表やプロジェクトメンバーの会議の費用が,予定より増えたため,次年度使用額が発生した.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額(84,014円)のマイナスは,学内予算などでカバーする予定である.
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