研究課題/領域番号 |
25282006
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
奥田 紫乃 同志社女子大学, 生活科学部, 准教授 (60352035)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 環境デザイン / LED照明 / 個人特性 / 肌の見え / 片頭痛 / 好ましさ評価 |
研究概要 |
本研究は、省エネルギー政策の一環として導入が進むLED照明に着目し、年齢や健康状態など、居住者の個人特性を考慮したLED照明デザイン手法を提案するものである。 研究に先立ち、国内外における関連研究の現状を把握するべく、情報収集を行った。次に、色の見えが重要となる視対象として「人の顔」に焦点をあて、その中でもアピアランスの良否に対する評価が求められる「女性の化粧顔」を視対象として、分光スペクトルの異なる光環境条件下における主観評価実験を実施した。実験では、380~700nmの範囲において一様である分光スペクトル条件に、ある特定の波長域を付加または減じる条件を作り出し、化粧顔の見えの好ましさに影響する分光条件について検討を行った。その結果、542~585nmの緑から黄緑色の波長成分を付加した条件で好ましさ評価が低く、610~661nmの橙から赤色の波長成分を付加した条件で好ましさ評価が高かった。また、449~517nmの青から緑色の波長成分を付加した条件では、自然さや品性の項目において評価が高いことが示された。 また、個人特性の中でも女性に多いといわれる片頭痛をもつ在室者に着目し、住空間でくつろぐ際に好ましい照明条件を明らかにすることを目的とした主観評価実験を実施した。実験では、実大実験空間に2種の光色のLED照明光源を設置し、各条件で被験者に好ましい明るさに調光させる調光実験、空間の輝度分布を変化させるために幾つかのタスク・アンビエント比条件を設定し、各TA比条件下で評価させるタスクアンビエント実験、壁面色彩による影響を明らかにするための壁面色彩実験の3種の実験を実施した。その結果、片頭痛をもつ在室者は、低照度且つ低色温度(3000K)の光環境を好むことが示され、壁色を黄色みに変更するよりも照明光色を制御するほうが効果的であることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の年次計画と比較すると、実施順序の変更はあるものの、肌の見えに関する実験や、実大リビング空間における被験者実験を実施するなど、初年度としては順調に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き国内外における関連研究の情報収集を行うと同時に、初年度に得たデータ分析を継続し、分光スペクトルによる評価への影響について詳細に検討する。また、視対象物として食品に着目し、照明条件の違いによる色の見えの差異に関する検討を実施する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
LED照明光源の技術は日進月歩であり、実験に使用するLED光源の購入は実験実施の直前が望ましい。したがって、次年度に実施予定の食品を対象とした評価実験に使用する光源については、然るべき時期に購入する予定である。また、LED照明光源下における国際的基準の動向や、関連研究の発表についても次年度以降に調査する必要がある。 光源の分光スペクトルを多様に変化させることができるLED照明光源を購入する。同器具は、RGBの主波長をもつLEDで構成され、それぞれの出力を調整することにより任意の照明光色をつくりだすことが可能である。また、国内外の学会に参加し、国際基準や関連技術・研究に関する情報収集を行う。
|