1. 片頭痛をもつ執務者に適した照明環境を明らかにすることを目的とした主観評価実験を行った。その結果、片頭痛をもつ人は、片頭痛をもたない人よりも低照度・低色温度条件を好む傾向がみられた。したがって、一般的に執務空間で推奨されている高照度・高色温度の光環境が、片頭痛をもつ人には適していない可能性が示唆された。 2. LED照明の光色条件とメークイメージががだの見えに与える影響を明らかにすることを目的とした主観評価実験を実施した。その結果、ナチュラル(オレンジ系メーク)や、キュート、エレガント(ピンク系メーク9では、5000Kの照明のときもっとも好ましく、クール(ベージュ系メーク)では4000Kの照明のとき最も好ましいことが示された。また、ナチュラルのメークの場合では、5000Kの照明条件では、duvが0-0.01の照明下で最も好ましいことが示された。したがって、メークイメージの違いにより好ましく感じられる照明光色が異なることが明らかとなった。 3. 照明光色変化後の色順応の過程および所要時間を明らかにするための評価実験を行った。その結果、前順応条件と評価照明の光色の差が大きい条件ほど、光色変化直後の有彩色応答値が大きく、有彩色応答値が定常状態となるまでの所要時間が長い傾向であることが示された。また、低色温度から高色温度に変化する条件では5分以内に有彩色応答値が0に達したが、高色温度から低色温度に変化する条件では、5分を過ぎても有彩色応答値が0に達しない条件の組み合わせがあることが明らかとなった。
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