研究課題/領域番号 |
25282014
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
栃原 裕 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 名誉教授 (50095907)
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研究分担者 |
橋口 暢子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80264167)
高崎 裕治 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (40117297)
樗木 晶子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60216497)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 入浴 / 高齢者 / 安全 / 血圧 / 温冷感 / ガイドライン |
研究概要 |
福岡市に居住し、独立して入浴行動が可能な65歳以上の高齢者103名と学生107名を対象として、入浴実態調査を夏季と冬季に実施した。入浴実態調査では、個人属性、入浴環境(住居タイプ、築年数、浴室タイプ、浴槽タイプ、脱衣室・浴室暖房の有無、温冷感など)、入浴習慣(入浴頻度、入浴方法、入浴に期待する効果、入浴の順番、入浴時間帯、浴槽に浸かっている時間など)さらに入浴中の体調不良や事故経験などを調査した。高齢者の入浴環境について、高齢者の住居は若年者の住居よりも保温、断熱性能に劣るものが多いと推測されるが、寒さや暑さを高齢者自身の温度感覚からは自覚しにくい状況が示唆された。高齢者の入浴習慣は、年代差からみると若年者とほぼ同様であったが、特に冬季は入浴により受ける身体負担が若年者よりも大きく、安全な入浴を行っているとは言えない。季節差からみると、熱い湯での全身浴で長湯という入浴は、冬季に多くみられる実態が示された。高齢者の冬季の入浴頻度、入浴方法の決定には世帯構成が寄与し、複数の同居人がいる高齢者は毎日の全身浴を多く行っていた。湯温の設定には脱衣室暖房の有無が寄与し、脱衣室暖房の使用が熱い湯の選択の回避に貢献していた。高齢者の入浴中の事故予防のためには、高齢者自身の注意を促すと共に、同居人に対しても関心を高める働きかけを行い、安全な入浴環境、習慣づくりへの協力を促すことが重要である。 若年男子10名を対象として、入浴実験を行った。脱衣室・浴室の室温は15℃とし、脱衣室にて脱衣後3分間留まり、浴室に入った。湯温は39℃もしくは42℃で、8分間の肩までの全身浴を日を変えて行った。その後5分間、回復過程を観察した。実験中、直腸温、7部位皮膚温、心電図(心拍変動)を連続測定するとともに、血圧は連続測定した。さらに、温冷感、快適感、汗の程度等の主観申告も受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
冬季だけでなく夏季にも高齢者・若年者各100名以上の入浴実態調査を実施することが出来た。ただし、室温や湯温の測定は、次年度以降に他地区との比較で行うこととした。入浴時の生理心理反応については、予定通り若年者を対象に、特に湯温の違いに焦点を当てて実施することが出来、その結果を解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
調査:今後2年間、福岡市,秋田市,札幌市の戸建住宅に居住する65歳以上の高齢者男女100名を対象とし、入浴習慣のアンケート、一週間の居間,脱衣場所,浴室の室温および外気温を5分間隔で測定する。さらに,一週間の高齢者入浴時の湯温を測定する。 実験:若年者について行った入浴実験を高齢者についても実施する。 調査・実験の成果および既往の論文からからガイドラインを作成する。
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