研究課題
入浴実験(対象者は若年者10名、高齢者11名、室温は20℃、相対湿度は50%環境下)では、安静を保持後、脱衣室にて脱衣し、その後、浴室に移動し、8分間の入浴を行った。入浴後は、脱衣室に戻り15分間の椅座位安静を保った。入浴時の湯温は39℃、42℃の2条件とした。直腸温の上昇は、若年者に比べ高齢者が小さく、浴後の皮膚温低下は、高齢者の方が若年者よりも有意に早く、大きく低下した。血圧は、高齢者が若年者よりも高値を推移し、特に浴槽につかった直後の血圧上昇が大きかった。また、主観的には、入浴後の温冷感および入浴中の快適感において、若年者は、39℃と42℃の温度条件間に有意差が認められ、高齢者は温度の違いによる有意差はなかった。得られた研究成果は国際誌に投稿中。前年度に続き,冬季に福岡市,秋田市,札幌市に居住する65歳以上の高齢者男女を対象に入浴習慣をアンケート調査し,居住温熱環境(脱衣場所,浴室,居間,戸外の気温)を一週間にわたり測定した.入浴習慣について,入浴事故死亡率の低い北海道の高齢者では入浴頻度が少なく,浴室滞在時間や浴槽滞在時間は短く,体を洗っているときの浴室の温冷感は暖かいと申告する者が多い傾向がみられた.居住温熱環境について戸建て住宅を調査した札幌市と秋田市を比較すると,脱衣場所と浴室の一日の平均気温は札幌市で15℃から20℃の間を推移するのに対して,秋田市では10℃前後を推移した.入浴時にヒートショックとなる浴室と居間との気温差は,札幌市よりも秋田市で大きかった.しかし,個々にみると,札幌市で室温の低い住居,秋田市で室温の高い住居も存在した.福岡市では集合住宅の居住温熱環境を調査し、脱衣場所,浴室,居間の一日の平均気温は15℃から20℃の間で推移し,集合住宅は保温性能に優れていることが示された。上記の実験、調査および先行研究により予防指針を検討中である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。