研究課題/領域番号 |
25282015
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
欅田 尚樹 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 部長 (90178020)
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研究分担者 |
牛山 明 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 上席主任研究官 (60291118)
TIN・TIN Win・Shwe 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究センター, 研究員 (00391128)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 携帯電話 / 電磁界 / マウス / 中枢神経 |
研究概要 |
本研究では、携帯高周波域電磁界(RF-EMF)の曝露装置を作成し、各発達ステージのマウスに電磁界曝露を行った際の生体影響評価について検討することを目的とした。 H25年度は、電磁界の曝露装置を作成し、成獣C57BL/6Jマウス(開始時7週齢)に対するRF-EMFばく露を、反射箱型ばく露装置を用いて周波数2.1GHz(W-CDMA方式)で5週間(1h/day)行った。RF-EMFばく露の際の全身平均比吸収率(SAR)として、8W/kg、4W/kg、0.4W/kg、4W/kgリカバリー(解剖前2日間ばく露無)、偽ばく露、コントロール、の計6群(n=8)準備した。 体重変化および脾臓・胸腺重量の比較、またフローサイトメトリーによる脾細胞における各リンパ系表面マーカーの細胞分布を6群間で比較した。変異原性試験として、ばく露前後の尾静脈より採血し赤血球小核試験を行った。加えて、脳神経系への影響を調べた。特に海馬における記憶と関連するNMDA 受容体とその経路にかかわる遺伝子発現量をリアルタイムRT-PCR法で検討した。 その結果、体重変化、臓器重量、小核試験において、顕著な差はみられなかった。細胞分画に関し、8W/kg群のCD3陽性細胞の割合は、0.4W/kg、4W/kgリカバリー、コントロールの3群に対し有意に高いことが確認された。しかし、CD4、CD8陽性細胞の割合については6群間で差は見られず、CD80、CD86、CD11b、CD19に関しても差は見られなかった。これらより、マウスに対するSAR 8W/kgの継続的なRF-EMFばく露は、T細胞の活性化、単球・マクロファージ、B細胞、変異原性には影響を与えておらず、影響が少ないことが推測された。海馬におけるNMDA受容体、およびNMDA のリガンドであるグルタミン酸の代謝に関わる運送者の遺伝子発現の変化が曝露群で認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
工学系の研究者の協力のもと、曝露系の設定を順調に準備でき、マウスにおける曝露において全身平均SAR(Specific Absorption Rate)で8W/kgの曝露を可能とし、成獣マウスを用いて予定通り実際の曝露実験を実施することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今年度2年目は、当初の予定通り、初年度に成獣マウスに実施した曝露実験をもとに、妊娠マウスへの曝露を行い、出産した仔マウスへの影響を検討する。さらに一部の仔マウスにおいては離乳期から仔マウスへの追加曝露も行い、携帯周波域の電磁界曝露が妊娠中および発達期に及ぼす影響を評価する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予算額の約1%を次年度繰越額としたが、ほぼ計画的な使用の範囲内と考えられる。 当初予定の計画のほぼ範囲内で使用実施する。
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