研究課題/領域番号 |
25282019
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮本 敬久 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70190816)
|
研究分担者 |
本城 賢一 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00264101)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | サルモネラ / 腸管出血性大腸菌 / レタス / ほうれん草 / 生残機構 |
研究実績の概要 |
レタスおよびホウレンソウに種々の濃度のSE-EGFP懸濁液を2 mL頭上噴霧し、サルモネラの生残性を調べた結果、レタスでは5.5 CFU/mL未満、ホウレンソウでは1200 CFU/mL未満の汚染水であれば、7日間以上生残しなかった。さらに大腸菌では、2 - 6 log CFU/mlの大腸菌O157:H7懸濁液を約2 ml頭上噴霧したホウレンソウ、0-2 log CFU/mlの大腸菌O157:H7懸濁液を約2 ml頭上噴霧したレタスを7日間栽培し、可食部の大腸菌O157:H7を検査した結果、ホウレンソウでは大腸菌O157:H7濃度が835 CFU/ml以下の場合、レタスでは7.3 CFU/ml以下の場合、7日目以降大腸菌O157:H7は検出されなかった。 リステリアについては70日目に収穫したリーフレタスの可食部汚染について調べた結果、 6 logおよび8 log CFU/gの汚染土壌で栽培したリーフレタスを合わせた23試験区のうち3試験区からLMが検出された。一方、汚染土壌が葉に付着しないようにマルチング処理を施した結果、26試験区のうちに1試験区からLMが検出され、マルチング効果が示唆された。汚染潅水の頭上噴霧による可食部汚染について検討した結果、400 CFU/mL以下の菌液(4mL)を噴霧した場合、7日後にはLMの生残が確認されなかった。 トマトおよびレタス抽出液では、サルモネラは血清型の違いに関わらず、接種から1日目にはトマト及びレタスともに約4 log CFU/mLの増加が認められた。トマト及びレタス抽出液中でのサルモネラ (Salmonella Typhimurium IFO12529) の遺伝子転写量の変化をDNAマイクロアレイにより解析した結果、トマトとレタス中では,転写量の変化した遺伝子の種類が異なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほうれん草についてはサルモネラ汚染についての結果しか出ていないが、サルモネラ及び大腸菌 リステリアでは、土壌及び灌水からのレタスの汚染について、用水中の濃度と生残性の関係を明らかにできた.また、トマト及びレタスについてはサルモネラの生育を調べ、抽出液中における遺伝子の転写量の変化をDNAマイクロアレイにより調べ、生残におけるメカニズムの一端を明らかにできた。
|
今後の研究の推進方策 |
リステリアについて汚染菌量と野菜への残留性の関係を明らかにする,また、当初の予定に従って、種々の食中毒細菌に対する付着阻害効果を見出した脂肪酸エステル、プロタミン、ポリリジン、乳清タンパク質、ある種の植物色素などを用いて植物表面を前処理し、この後、種々の濃度で食中毒細菌を接種して一定期間インキュベート後に通常行われる洗浄/殺菌処理を行い、食中毒細菌の生残に対する前処理の効果を検証する。
|