研究課題
酸化ストレスによる遺伝子発現をDNAマイクロアレイで網羅的に解析した。その結果から、酸化ストレスに応答した、未だにリガンドが同定されていないオーファン受容体の一種であるNR4A1遺伝子に着目し、RNAi法を用いてNR4A1遺伝子の発現を抑制して酸化ストレスに対する働きを検討した。フローサイトメーターで酸化ストレス下でのアポトーシス細胞を測定したところ、NR4A1遺伝子の発現を抑制することにより、酸化ストレスによるアポトーシス細胞の割合が有意に上昇した。また、この時のカスパーゼの活性を測定したところ、アポトーシスを引き起こす経路の一つである外因性経路を調節するカスパーゼ-8と-3の活性が有意に上昇した。以上の結果により、過酸化水素による酸化ストレスの刺激でNR4A1がカスパーゼ-8、-3の活性を抑制することにより、主に外因性経路によるアポトーシスを抑制することが示唆された。次にNR4A3ノックダウン細胞を作製した。昨年度行ったときよりmRNAの量は多かったので、蛋白質レベルでどれくらいノックダウンされているかを検討した。次年度はこれらノックダウンされて抗酸化力の落ちた細胞に対するゼーラニンAの保護効果を明らかにするとともに、動物実験により、高血糖改善効果を明らかにする。ゼーラニンAがどのように体内に吸収され、血液中や細胞中でそのまま効果を発揮するのかそれとも分解されたエラジタンニンなどが抗酸化力を発揮するのかを引き続き検討した。
2: おおむね順調に進展している
ゼーラニンA の抗酸化力や生活習慣病に対する効果を明らかにするために、通常のすい臓細胞や、ヒト正常細胞よりさらに抗酸化力の低下する細胞を作製するために酸化ストレスの初期に急激に転写が増加するNR4A1やNR4A3ノックダウン細胞を作製することができた。この細胞を用いればゼーラニンAの抗酸化効果を詳細に明らかにできると考えられ、おおむね順調に進展していると判断している。
2型糖尿病マウスKK-AyなどにゼーラニンAを摂取させ抗糖尿病効果があるかを明らかにする。ゼーラニンAのマウスに及ぼす影響を明らかにするとともに、臓器における遺伝子発現の変化を調べる。NR4A3ノックダウン細胞をやNR4A1ノックダウン細胞を用いて酸化ストレスに弱くなった状態の細胞にゼーラニンAがどれだけ効果があるか、既存のNACなどの抗酸化剤、アスコルビン酸などの抗酸化ビタミンより優れているのかなどを明らかにする。
勤務先を変わったため、戸板女子短期大学では使用計画ができてなかったため。
科研費の経理および管理のために使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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