研究課題/領域番号 |
25282021
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
杉本 直俊 金沢大学, 医学系, 准教授 (80272954)
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研究分担者 |
谷内江 昭宏 金沢大学, 医学系, 教授 (40210281)
紫藤 治 島根大学, 医学部, 教授 (40175386)
少作 隆子 金沢大学, 保健学系, 教授 (60179025)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 食品 / 栄養学 / 生理学 |
研究概要 |
嗜好食品にはカフェイン、テオフィリンやテオブロミンなどのメチルキサンチン誘導体を成分にもつ食品が数多くある。近年、mammallian Target of Rapamycin (mTOR)の活性化ががん化や老化の促進、一部の精神発達障害に関与することが明らかとなった。私たちは様々なメチルキサンチン誘導体がmTORを抑制することを世界に先駆けて見出している。このことは、メチルキサンチン誘導体を成分に持つ嗜好食品の摂取が、がん化や老化、そして精神発達障害の予防やQOL等の改善に有効であることを示唆している。 平成25年度は小動物用の飼料にメチルキサンチン誘導体(テオブロミン)を配合した飼料を製造した。次にそのテオブロミン配合飼料と通常の飼料の摂取による(1)小動物の摂食量、(2)体重、(3)血漿パラメーターの相違を検討した。その結果、今回使用したテオブロミン配合飼料では通常の飼料の摂取のラット群とで明らかな相違は認められなかった。かつ本結果は、メチルキサンチン誘導体(テオブロミン)配合飼料の作成や投与方法などについても示唆を与えるものである。 また、テオブロミンによるヒト神経膠芽腫への影響を検討した。その結果、テオブロミンはヒト神経膠芽腫細胞の増殖を抑制することを世界で初めて明らかにした。かつ、テオブロミンがヒト神経膠芽腫細胞内でmTORシグナルを抑制することも明らかにした。 以上から少しずつではあるが、嗜好食品に含まれるメチルキサンチン誘導体の生体への作用が明らかにされつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度はメチルキサンチン誘導体(テオブロミン)を配合した飼料のラットへの影響を検討できた。かつ、テオブロミンのヒト神経膠芽腫への影響も明らかにできた。以上から、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の予定通りメチルキサンチン誘導体を成分にもつ食品の摂取が“がん化”、“老化”“精神発達障害”の予防やQOL等の改善に有効であるか否かを明らかにするとともに、その作用機序を解明していく。 本研究の成果は、少子高齢化社会に突入した我が国において、「子供から大人まで、食育を通した健康維持戦略」のたたき台として大きく貢献することが期待されると思われるため、邁進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、(1)セルイメージングシステム(ライフテクノロジージャパン・EVOS ・250万円)と(2)CO2インキュベーター(Panasonic・MCO18AC ・80万円)の物品購入を予定していた。しかし、購入時に購入予定の(1)セルイメージングシステムより上位機種(EVOS FL・一式総額約320万円)が本研究の遂行には有利であるとの情報を得て、上位機種に変更しリースとしたため、未使用額が発生した。かつ、研究の推進のために必須の機器であるPCR機が故障、廃棄となったため、(2)CO2インキュベーターの代わりにPCR機(BioRad・49.4万円)を購入した。CO2インキュベーターは他の研究室で使用していない物を現在借りて使用している。調査・発表の出張は次年度以降へ、人件費謝礼は本年度発生しなかった。以上の理由から未使用額が発生した。 上記の未使用分も含め、研究推進のために、物品費に充てるとともに、成果発表や情報収集のために旅費およびその他(英文校正費、投稿料など)も充てる。 特に平成26年度は、メチルキサンチン誘導体配合資料の摂取による影響をさらに長期的に観察するために、動物個別飼育制御装置を購入し、外界からのストレスや感染の影響を最小限に抑えた環境での動物実験の実施を可能にする。
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