研究課題/領域番号 |
25282022
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
山本 浩範 仁愛大学, 人間生活学部, 准教授 (60314861)
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研究分担者 |
岩野 正之 福井大学, 医学部, 教授 (20275324)
竹谷 豊 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30263825)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リン / 感受性遺伝子 / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
高リン血症は、腎不全透析患者で高頻度にみられ、腎での活性型ビタミンD産生低下や二次性副甲状腺機能亢進に伴う腎性骨異栄養症と深く関与するだけでなく、動脈硬化発症および死亡リスク増大の独立因子としても知られている。このことから、高リン血症の栄養管理は、腎疾患の病態改善および進展予防に役立つだけでなく、生活習慣病の発症予防にも重要とされている。しかしながら、リンは生体の腎臓、骨、腸管や肝臓、血管、脳など様々な臓器で複雑に応答し、さらに、発達段階でリン利用効率が異なることやリン代謝の日内リズムが考えられる。そのため、生体におけるリン作用およびセンシング機構を統合的に理解することが新しい生活習慣病の予防法の確立に必要不可欠である。本年度は、急性炎症時におけるリン代謝異常の発症には、副甲状腺ホルモン(PTH)の上昇による腎ナトリウム依存性リン輸送担体の発現低下が関与していることを見出した(Ikeda et al. AJP-Renal, 2014)。また、食事性リン摂取による腎alpha-klotho遺伝子の発現低下作用は、生後発達段階によって異なることをマウスを用いて明らかにし、ビタミンD代謝との関連を解析した。さらに、リン・カルシウム代謝を調節する活性型ビタミンDについて、マウスにおいても日内リズムが観察され、そのリズム形成には腎に発現するビタミンD合成酵素Cyp27b1およびCyp24a1の遺伝子発現の時計遺伝子による調節が関与していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人的確保がむずかしかったためにやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は、引き続き生体リンセンシング機構の解明を目的としてリン感受性遺伝子として同定した腎Klotho遺伝子の発達段階特異的な調節機構について食事性リンとエピゲノム修飾との関係を明らかにする。また、高リン食または低リン食を用いマウスおよびヒト試験を行い、経時的に血液および尿サンプルを採取する。分担者(竹谷)が所属する徳島大学の総合研究センターに備わっているCE-MS質量分析法を用いメタボローム解析を行い、イオン性代謝産物を分析しリン感受性体内物質を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究環境の整備や必要試料の入手に時間がかかり、さらに人的確保が難しかったために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の使用計画として、昨年度に引き続き、徳島大学(分担者、竹谷)と福井大学(分担者、岩野)との共同研究の連携により本研究課題の遂行を推進する。27年度は、引き続き生体リンセンシング機構の解明を目的としてリン感受性遺伝子として同定した腎Klotho遺伝子の発達段階特異的な調節機構について食事性リンとエピゲノム修飾との関係を明らかにする。また、高リン食または低リン食を用いマウスおよびヒト試験を行い、経時的に血液および尿サンプルを採取する。分担者(竹谷)が所属する徳島大学の総合研究センターに備わっているCE-MS質量分析法を用いメタボローム解析を行い、イオン性代謝産物を分析しリン感受性体内物質を同定する。
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