研究課題
老化に伴って発症してくる疾患を予防する方法として、インスリンシグナルの抑制と食餌カロリーの制限が知られている。本研究では、その抗老化作用の発揮に重要と示唆される特異的DNA配列に結合する転写因子の同定と、この配列の活性化の様子をレポーターアッセイ系と組み合わせることにより、リアルタイムで評価できるシステムを構築することを目的とした。本年度は、レポーターを活性化することが示唆された、含硫アミノ酸であるタウリンの抗老化作用の関する解析と、転写調節因子の解析を中心に研究を行った。添加量の異なるタウリン食をSDラットに与え、脂質代謝関連マーカーの発現変化を解析した。その結果、血清総コレステロール濃度、肝臓のコレステロールおよびトリグリセリド濃度は、対照群に比べてタウリン添加食群で低下した。脂質代謝関連遺伝子の発現を解析したところ、脂肪酸合成に関与するFASの発現は、タウリンの添加量依存的に低下した。一方、脂肪酸のβ酸化に関与するCPT1aの発現は、タウリン添加量に依存して増加した。また、C57BL/6マウスにタウリン食を与え、3-nitropropionic acid(3NPA)によって誘導される酸化ストレスに対する耐性、およびストレス応答遺伝子の発現について解析したところ、タウリン添加食群では3NPA投与による体重減少率が対照群と比較して低く、生存率も有意に上昇した。これらの結果は、タウリンが抗老化物質として作用する可能性を示唆している。構築したレポーターアッセイ系をもちいた転写調節因子の解析結果から、酸化ストレス耐性に関与するNrf2がレポーターを活性化させることが示唆された。また、長寿遺伝子であるsirtuin 1によるレポーターの活性調節も示唆され、これらのシグナル伝達系に関与する分子群が、長寿命を示すマウスの表現型と関連があることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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