研究課題/領域番号 |
25282028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
古家 大祐 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70242980)
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研究分担者 |
金崎 啓造 金沢医科大学, 医学部, 講師 (60589919)
北田 宗弘 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40434469)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 代謝 / オートファジー / mTOR / SIRT1 |
研究概要 |
高カロリー食による栄養応答シグナルの破綻により肝臓におけるオートファジー機構の制御不全が惹起され、メタボリックシンドロームや糖尿病などの代謝疾患の発症に関わっていることを検証する。ついで、これら分子基盤を栄養応答シグナルとオートファジー機構との観点から解明するとともに、遊離アミノ酸バランス組成比を変化させた治療によって、高カロリー食下におけるオートファジー機構の亢進を介した栄養応答シグナルの恒常性維持が代謝異常の制御法になることを明らかにする。 マウス(C57Bl6)を用い、高脂肪(カロリー)食・ケト原性アミノ酸含有高脂肪食にて飼育した。12週、24週後に耐糖能・エネルギー代謝を評価し屠殺した。肝臓を採取し組織学的・生化学的・分子生物学的検討を行った。オートファジーを可視化する事ができるLC3-GFPマウスを用い、オートファジー機構の演じる役割を検討した。8週齢のマウスを、通常食、高脂肪食、高脂肪食+ケト原性アミノ酸食(脂質、炭水化物エネルギー比率は通常食と同様)、12、16週後に耐糖能、肝臓の組織検査(oil red O染色)、肝臓におけるオートファジー関連シグナル、内臓脂肪の大きさとマクロファージ浸潤を検討した。その結果、摂食量に変わりはないが、ケト原性アミノ酸食群によって高脂肪食群と比較して、体重の有意な減少、内臓脂肪重量(Epididymal fat)の有意な減少とマクロファージ浸潤の減少、オートファジーの亢進、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の改善、耐糖能異常の改善、が認められた。上流の分子メカニズムとして、高脂肪食群における肝臓でのLKB1-AMPKシグナルの低下とmTOR活性化が、ケト原性アミノ酸食によって改善されていた。さらに、高脂肪食群でみられたSIRT1の発現低下も、ケト原性アミノ酸食によって改善されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の結果から、ケト原性アミノ酸によって、高脂肪食時における肝臓におけるオートファジーの破綻が非アルコール性脂肪肝(NAFLD)形成と耐糖能異常に重要な役割を演じていること、さらにケト原性アミノ酸による栄養応答シグナルの破綻の改善が、オートファジー機構の維持を介して、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)形成と耐糖能異常を改善しえることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、高脂肪食における肝臓のオートファジー機構の破綻が生じていること、さらにそれがケト原性アミノ酸によって維持されることによって、代謝異常の是正ができることを明らかにできた。今後は、高脂肪食によって脂肪組織、および骨格筋におけるオートファジー機構の制御不全が惹起されているか否か、それがケト原性アミノ酸によって改善されるかを検討する。さらに、加齢による各臓器のオートファジー機構と代謝に対する影響も検討するとともに、代謝関連臓器(肝臓、脂肪組織、骨格筋)にそれぞれの特異的Creマウス(albumin-Cre;肝臓、aP2-Cre;脂肪組織、skeletal actin-Cre;骨格筋)とAtg5floxマウスから、組織特異的Atg5ノックアウトマウスを作成して、ぞれぞれの臓器の代謝異常の発症に関わる意義を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
助成金の残額5188円にて購入する消耗品に不足していた 平成26年度分に繰り越しして、消耗品を購入する
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