研究課題
基盤研究(B)
これまでの研究から、生活習慣病の主因と考えられるtoxic AGEs(TAGE)が食後高血糖、果糖および高AGEs飲食品の過剰摂取により体内で生成されることが明らかになりつつあるが、肝臓内でのTAGEの生成・蓄積/分解・除去と非アルコール性脂肪性肝障害(nonalcoholic fatty liver disease, NAFLD)の発症・進展に関する研究は全く検討されていない。我々の研究から、果糖の過剰摂取が肝臓内でのTAGEの生成や蓄積につながっていることが推定されている。また、果糖の過剰摂取は、NAFLDの発症・進展のみならず、心血管系の病態にも影響を及ぼすことが知られている。そこで、平成25年度は、果糖の過剰摂取が肝細胞や心筋細胞に及ぼす影響について検討した。1.ヒト肝癌細胞株Hep3Bを用い、高密度培養下、5日間の果糖暴露を行った結果、二次元電気泳動後のウエスタンブロット解析実験の結果から、高濃度の果糖を暴露させた細胞ではコントロール細胞と比較して細胞内にTAGE化した蛋白質(等電点8.5-9.0、分子量70-80 kDa)のスポットが数個検出された。すなわち、果糖によるNAFLDの起因や進行にTAGE化された肝細胞内蛋白質の機能変化が関与している可能性が示唆された。現在、検出されたTAGE化蛋白質のスポットを同定中である。2.ラット初代培養心筋細胞にTAGE前駆体のグリセルアルデヒド(GLA)を添加すると、GLA濃度依存的な心筋細胞の拍動停止ならびに細胞死が観察された。現在、生成した細胞内TAGE量の微量検出系を確立すべく、種々の条件検討を行っている。また、果糖曝露による心筋細胞内TAGE生成・蓄積と細胞障害の関連性も検討中である。
3: やや遅れている
果糖代謝のキー中間体であるfructose-1-phosphate (F-1-P) 由来AGEs標準品の作製及び特異抗体の作製実験は、F-1-P化合物自体の販売中止により、十分量の標準品ならびに免疫原の確保が困難な状況となっており、当初の予定より遅れている。
当初の予定通り、平成25年度の研究成果をふまえ,以下の3つのプロジェクトを遂行する。1)研究計画を遂行する有力なツールとしてのTAGEモノクローナル抗体の作製、2)果糖ブドウ糖液糖の過剰摂取と肝細胞内TAGE及びF-1-P-AGEsの生成・蓄積との関連性 の検討、3)初代培養肝細胞を用いた細胞内TAGE分解・除去システムに関する検討なお、F-1-P化合物の受託合成等を視野に入れ、平成25年度の計画の遅れを取り戻す。
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