研究課題
これまでの研究から、生活習慣病の主因と考えられるtoxic AGEs(TAGE)が食後高血糖、果糖および高AGEs飲食品の過剰摂取により体内で生成されることが明らかになりつつあるが、肝臓内でのTAGEの生成・蓄積/分解・除去と非アルコール性脂肪性肝障害(nonalcoholic fatty liver disease, NAFLD)の発症・進展に関する研究は全く検討されていない。我々の研究から、果糖の過剰摂取が肝臓内でのTAGEの生成や蓄積につながっていることが推定されている。また、果糖の過剰摂取は、NAFLDの発症・進展のみならず、心血管系の病態にも影響を及ぼすことが知られている。そこで、平成26年度は、果糖の過剰摂取が肝細胞や心筋細胞に及ぼす影響について検討した。1.ヒト肝癌細胞株Hep3Bを用い、高密度培養下、5日間の果糖暴露後、二次元電気泳動により展開し、TAGE抗体と特異的に交差するスポットをMALDI-TOF-MSで分析した結果、heterogeneous nuclear ribonucleoprotein M (hnRNPM) が同定された。これらの結果は、既に論文に公表した(World J. Gastroenterol. 21: 1784-1793, 2015)。2.ラット初代培養心筋細胞にTAGE前駆体のグリセルアルデヒド(GLA)を添加すると、心筋細胞内TAGE量の増加に伴った心筋細胞の拍動停止ならびに細胞死が観察された。さらに、電顕により心筋細胞内の変化を検討すると、小胞体の変化に引き続きオートファジーの活性低下が観察され、現在、論文を作成中である。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ、当初の計画通りに進行している。
当初の予定通り、平成27年度は25&26年度の研究成果をふまえ,次の2つのプロジェクトを遂行する。1.果糖ブドウ糖液糖及び食事性AGEsの過剰摂取が動物組織に与える影響(体内におけるAGEsの生成・蓄積/分解・除去・排泄機序)に関する検討、2.果糖ブドウ糖液糖の過剰摂取がNAFLDに与える影響(肝星細胞・クッパー細胞内AGEs生成・蓄積機序の解明)について検討する。
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 3件) 図書 (3件) 備考 (2件)
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