研究課題/領域番号 |
25282035
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
西村 圭一 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30549358)
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研究分担者 |
長尾 篤志 国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (00353392)
清野 辰彦 山梨大学, 教育人間科学部, 准教授 (00550740)
青山 和裕 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10400657)
松嵜 昭雄 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10533292)
山口 武志 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (60239895)
久保 良宏 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80344539)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 科学的社会認識 / 初等中等教育 / 意思決定 / 数理科学 |
研究実績の概要 |
本研究は,社会的・職業的文脈や教科横断的文脈において,他者と協働しながら,事象を数理的に処理し,リスクや不確実性を考慮し,根拠を明確にして判断や意思決定をする「数理的意思決定力」の育成をめざす,初等・中等教育段階を対象とした実証的研究である。 二年次である平成26年度は,研究分担者,連携研究者,小・中・高等学校の教諭や指導主事等,総勢40名からなる研究組織で,教材,授業,評価,教師教育の4班に分かれて研究を進めた。 教材班は,1年次の成果を日本数学教育学会春期研究大会において発表するとともに,研究成果を日本科学教育学会誌に投稿した。授業班は5チームに分かれ,3~5単位時間から成る授業を,評価班の作成した数理科学的意思決定力の下位能力群である「プロセス能力」や「数学的‐社会的価値認識力」に関する水準表を用いながら,デザインした。そして,小・中・高等学校で8つの実践授業を行った。これらの授業においては,子どもの数理科学的意思決定の様相を把握するために,全時間ビデオ撮影をし,毎授業後にすべてのワークシートを回収するとともに,終盤の1~2単位時間は15名程度の観察者で分担を決め,特定の子どもやグループの活動の様子を筆記,ビデオ,録音など,詳細なデータを収集した。教師教育班は,数理的意思決定力の育成に関する教師質問紙調査を全国から層別二段階抽出により抽出した小・中・高等学校1151校に調査用紙を3部送付し実施した。そして,843名分の有効回答(小学校131名,中学校298名,高等学校330名,中高一貫校(中等教育学校を含む)84名)を集計した。 さらに,英国の数学教育プロジェクトBowland Maths.と協働し,両国において研究授業も実施した。 上記の成果に関しては,平成27年6月に日本数学教育学会春期研究大会「創成型課題研究」の部において発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発した教材に基づく実践授業を行い,子どもの数理科学的意思決定の様相の分析を進め,授業設計上の改善点が明らかになった。また,数理的意思決定力の育成に関する教師質問紙調査の分析を進め,教員養成や教師教育に対する示唆も得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
実践授業における子どもの数理科学的意思決定の様相の分析をもとに,授業設計を改善するとともに,ルーリックに基づく評価モデルを作成し,その有効性を検証する。また,教師質問紙調査の結果を,統計的により詳細に分析し,数理科学的意思決定力の育成を図る授業を実施する上での教師の阻害要因を明らかにした上で,教師教育モデルを提案する。また,ESDに関わる教材を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査の集計業務の外注をやめ,自分たちで行ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでの研究成果を国際会議等で発表するための旅費等に当てる。
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備考 |
上記(2)は,英国の数学教育プロジェクトBowland Maths.との連携研究の成果を含むものである。
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