研究課題/領域番号 |
25282037
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
吉田 淳 名古屋学院大学, スポーツ健康科学部, 教授 (90115668)
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研究分担者 |
大鹿 聖公 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50263653)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 理科授業分析 / カリキュラム改革 / 教育制度 / 比較研究 / 授業過程 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、韓国、台湾、香港の研究協力者から、各国の小、中学校理科授業の提供を受けることができた。日本語への翻訳には、各国において現地語へトランスクリプトを作成してもらった。送られたデータは、研究代表者がエクセルに日本語で再入力し、教師の活動(5カテゴリー)、児童生徒の活動(5カテゴリー)にコーディングし、数量的な分析を行った。 平成27年10月16-18日に開催される東アジア科学教育学会(EASE2015Peijing)におけるシンポジウム形式の発表を行うことができた。発表者、テーマは次のとおりであった。 ①Yoshida: Introduction, Purpose and Outline of Cooperative Project,②Shoju Tonishi: Good Practice in Japanese Science Lesson: What is “Good Practice”,③Young Tae Kong: The Characteristics of Korea’s Revised Science Curriculum,④Mei-Yu Chang: The Innovation of Science Curriculum and Teaching Practice in Taiwan,⑤Alice Siu Ling Wong: Science curriculum innovation and teaching practice in Hong Kong,⑥Atsushi Yoshida: Comparative Lesson Study of Elementary and Lower secondary Science
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年目に当たる平成27年度はこれまでの研究成果を集約してきた。残念ながら、韓国、台湾、香港からの資料提供は期待通りにはならなかったが、各国の教育課程改革の現状や各国の理科授業の問題点、課題について情報収集と交換をすることができた。各国のカリキュラム改革が進展する中で、小、中学校の授業レベルの検討まで至ることができないことが課題とされた。各国へは研究代表者と研究協力者である遠西昭壽名誉教授が小学校あるいは中学校を訪問し、理科授業を観察してきた。ここでの議論を深めることはできなかったが、持ち帰った資料と送られた授業の分析により、日本、韓国の理科授業の展開には多くの共通点がみられるものの、台湾及び香港の授業では、いわゆる「科学知識の伝達」を重視しながら生徒との質問-回答を中心とする授業展開であることを認識できた。 この点においては東アジア4ヶ国の理科授業の現状と一部の要因を解明できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年10月の東アジア科学教育学会では、各国の異なる視点からの発表が行われた。その要因として、日本を除く3ヶ国では授業研究(分析)という教育的手法や意味が定着していないため、カリキュラム開発改訂の基礎となる「理科授業の本質と課題」を中心に、さらなる議論を展開する必要がある。 幸いにも基金分の一部が未使用であるため、平成28年8月に開催されるEASE2016TOKYOにおいて関連する研究課題の発表を行うとともに、今後の研究方策について議論を重ねることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年10月までの研究成果については東アジア科学教育学会(EASE2015) で発表してきた。その後のデータの追加や解析については未発表であり、平成28年8月に開催される同学会(EASE2016TOKYO)において研究発表する。これまでの成果については、すでに冊子体の研究報告書に集約しているので、追加分について公表したい。
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次年度使用額の使用計画 |
東アジア科学教育学会(EASE2016TOKYO)では、前回と同様に、韓国、台湾、香港の研究協力者との意見交換などを検討しており、各国からの参加者の航空券、宿泊、日当、学会参加費などについて支出する予定である。それらの経費支出後、余剰金が生じたら、次期の国際共同研究に向けた取り組について各国を訪問し検討する。
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