研究課題/領域番号 |
25282040
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
林 裕子 山口大学, 技術経営研究科, 准教授 (90637456)
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研究分担者 |
河野 銀子 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (10282196)
國井 秀子 (清水 秀子) 芝浦工業大学, 工学マネジメント研究科, 教授 (40648549)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 科学教育 / 女子の進学 / 親の意識 / 理系教育 |
研究概要 |
イノベーションの推進に多様な人材が科学技術分野で求められるが、大学の理系学部に進む女性が少ない日本の実態を調査し、解決策を探る。そこで、女性の進路選択に影響を与える母親を分析対象とし質問紙調査を実施した。母親を抽出する際、歴史の長い大学、文系と理系を併設する大学、母親を抽出しやすい様に女子大を選んだ。加えて、同窓会は組織が強固で、協力が得られれば、高い回収率を見込める都内の有名女子大を選び、調査依頼を行った。調査は承諾され、卒業生調査室の協力で実施することが決定した。 次に調査設計を開始した。調査対象はサンプル数、回収率を考慮し、1960年~2004年の卒業者、4000名弱とした。次に調査票を作成し、母親が子の理系進路選択に与える影響を多角的に捉えるための質問項目と、妥当な統計解析が行える回答形式を検討した。自由記述による回答方法も適宜用いた。また、聞き取り調査への協力の可否を尋ね、おって連絡ができるよう承諾用の書類を設けた。調査票は、整形や編集を施した後、調査対象大学と共同での検討とプリテストを実施し、修正を加えたうえで、本調査を実施した。調査票のデザインは調査の知識と編集技術のある調査会社の定型を参考とし、回答欄のナンバリングは調査会社に依頼した。調査票に関して調査対象大学において倫理審査委員会の承諾を得た。調査票の印刷は外注した。調査票の整形、印刷や発送業務などに携わる個人や業者と個人情報保護にかかる確認書を交わした。調査票を回収した後、データ入力は調査会社に外注した。 広報活動・成果の公表の準備として理系女子に関する関連研究を学会で発表した。また査読付き論文を2編作成した。理系女子の現状に関して講演を行った。また、関連シンポジウム等で理系女子の必要性について議論の機会を得た。調査状況の報告等を報告するため、ウェブサイトを作成中。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年目は、概ね計画通りに遂行出来た。調査対象大学との合同会議は、4月9日,5月7日、6月17日、7月31日、9月19日、10月30日、計6回行い、その他の連絡はメール、電話等で行った。4月はプロジェクトの概要と内容確認、調査分担確認、スケジュール確認、予算確認、個人情報の扱いの確認等を行った。5月は、調査票のたたき台をもとに、調査設計に取り組んだ。6月はフェイスシートと質問項目を検討した。調査票の問い合わせ窓口、題名の検討、倫理審査委員会の検討を開始した。6月末にかけて、調査対象数を確認した。データ入力の外注会社を選定し、打ち合わせを開始した。7月は質問項目の検討し、意見、修正案を出し合った。8月上旬に調査票案の完成。8月半ばから9月にかけ、調査票の質問について、客観的視点から第三者に意見を聞いた。9月は第三者の意見を反映した案を作成。10月は発送の準備としてかがみ文の確認、調査票の確認、倫理審査申請書ドラフトの確認、プレテストの計画を確認した。11月は追加調査用別紙(同意書含む)の作成、表紙の作成、質問票の用語統一、倫理審査委員会への申請をした。同時にプリテストを開始した。12月は、倫理審査が終了、プリテスト結果を調査票に反映し、倫理審査の回答への対応を行った。2014年1月は発送準備。データの整形終了後外注にて印刷、2月初旬に発送した。2月末に調査票の回収締め切り。3月にデータ入力開始。発送数3629通に対し、1863通を回収し、回収率51.3%となった。回収したデータ分析により、女子の進路選択における母親の影響の特徴を明らかにすることが期待出来る。 予算に関しての計画の相違については、回答期限後に予定していた催促状の送付をとりやめた。理由は回収率が高いことと、調査対象者の数が772人増え、印刷、郵送の経費が増加したことである。これに関して経費に大きな支障は無かった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は回収した調査票に基づき分析・解析を進める。4月に単純集計が出た段階で、研究会を開催してメンバーでその結果を共有した。7月にかけて必要な項目に関してクロス集計等を追加する。また、単純集計やクロス集計の結果をもとに、項目間のより詳細な関係性を明らかにするため、必要に応じて多変量解析を行う。自由記述による回答部分を、他の項目と関連付けて分析する。聞き取り調査の実施に向けて8月9月で質問項目の設定をする。10月~27年2月にかけて聞き取り調査を実施する。対象者は質問紙調査において、聞き取り調査に協力可能と回答のあった約120名の母親より選出。とくに独創的なアイデアや特徴的な取り組み等の事例に関する調査を実施する。面接による聞き取り調査を基本とし、電話やメール、手紙等も併用する。録音機材を要し、その内容の音声起こしはアルバイトを確保する。 通年で中間成果の公表・広報活動を行う。25年度より、本調査をベースとするホームページを作成中で関係機関へのリンク等を通じて、女性の理系進路選択をめぐる現状や課題の周知に務める。また、研究の中間報告は学会発表や論文投稿を通じて国内外に向けて発信する。 平成27年度は調査結果のまとめを実施する。質問紙調査と聞き取り調査の結果を統合し、女性の理系進路選択促進に必要な母親の経験や考え方、それを生み出す環境に関する知見をまとめる。先行研究との相違点を明確にし、理学系・工学系に進む女性増加の方策を提案する。通年に渡り、最終成果の公表・広報活動を行う。関連諸学会での発表や論文投稿およびホームページでの掲載を通して、最終成果を国内外に公表・発信する。また、調査研究報告書を理学・工学関係の研究者らに送付する他、小冊子など一般向けの印刷物も作成し配布する。更に研究結果が政策に反映される様に、メンバーらのこれまでの所属委員会等を通じ、省庁などに働きかける。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査票の整形、発送や封入、データの入力に謝金を計上していたが、外注とした。思ったよりも効率よく作業がすすみ、多少の余裕がでた。 追加調査において、聞き取り場所への旅費が必要になるため、それに当てる予定。
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