研究課題/領域番号 |
25282046
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
札野 順 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (90229089)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 工学教育 / 技術者倫理 / グローバル化社会 / モデル・シラバス / 学習・教育目標 / 教育目標 / 海外共同研究者 |
研究概要 |
本研究は、研究代表者が委員長を務める(公)日本工学教育協会(以下日工教とする)の技術者倫理調査研究委員会と、所長を務める金沢工業大学科学技術応用倫理研究所が共同して実施している。米国、英国、韓国、台湾、カタール、シンガポールなどの海外共同研究者が参画している。 本研究の主目的は、グローバル化が急速に進む21世紀の国際社会において、技術者に求められる倫理的資質・能力を同定し、それらを育成するための教育(教育目標、教材、教育方法、測定・評価法など)を検討することにより、国際的に適用可能なモデル・シラバスおよび教育モジュールを開発することである。平成25年度は、我が国の技術者倫理教育の現状に関する実証的な調査を踏まえて同定した学習・教育目標(22項目)とその解説を英文化した。また、これら学習・教育目標の各国における妥当性および適用可能性の評価を海外共同研究者(米国2名、英国、台湾、カタール各1名)とともに行った。これらの成果を、平成25年11月に東京で開催した第1回国際ワークショップで発表した。加えて、学習・教育目標を達成するためのモジュールを開発した。(これらは、1)倫理的分析能力の向上、2)動機付け、3)導入、を主題とするモジュールである。) さらに、これらの成果について、技術者教育の継続的改革を目的する教育機関の国際的コミュニティであるCDIO Initiativeの2014年度アジア地域会議において報告するとともに、加盟機関の参画を要請したところ賛同を得た。 したがって、本課題を通して、グローバル化する世界に対応した技術者倫理の研究・開発・改善を継続的に推進することができる国際的な共同研究コミュニティの拠点を我が国に構築するための基盤を、ある程度形成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度研究実施計画の主要部分である国際的に適用可能な技術者倫理教育のモデル・シラバスおよび教育モジュールの開発については、おおむね順調に進展しているが、次の3点については、やや遅れている。 1)平成25年度に計画していた海外の技術者教育認定機関への訪問調査を、研究の進捗状況から判断して、平成26年度に実施することとした。 2)同定した学習・教育目標のうち、情意領域に分類される「技術者が持つべき態度と共有すべき価値」に属する目標群についての測定・評価方法に関して鋭意検討を続けているが、まだ、具体的な成果にいたっていない。 3)海外共同研究者とのコミュニケーションのため当初予定していたインターネットを介した会議システムよりも安価なシステムが見つかったため、こちらを試行しているがまだ完全には整備されていない。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な推進方針については、交付申請書に記載したとおりであるが、より広範な国際比較を行うために海外研究協力者を増やすことを計画している。具体的には、前述の国際的な技術者教育改革のためのコミュニティであるCDIO Initiativeとの連携を強化する方針である。 CDIO Initiativeは、平成26年5月時点で、世界各地の110以上の高等教育機関(アジア地域は11機関)からなる組織で、すでに国際的なコミュニティを形成して、活発な活動を展開している。研究代表者は、所属組織の代表として、同組織の活動に積極的に参画しており、特に、アジア地域の加盟機関および加盟を希望する機関の関係者とは親交が深い。また、平成26年6月にスペイン・バルセロナで開催されるThe 10th CDIO International Conferenceでは、本課題のこれまでの成果について発表する予定である。 CDIOにおいても技術者倫理教育は重視されているため、研究代表者が持つ上記のようなネットワークを活用して、より多くの国や地域の技術者教育関係者からのフィードバックを得ることができる。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際ワークショップに招聘した海外共同研究者のうち3名が、ワークショップ開催時にすでに日本国内で活動していたため、当初予定していた旅費のうち、この3名分が必要なくなった。また、海外の技術者教育認定機関への訪問調査を26年度に実施することとしたため、この費用を次年次使用とした。 海外研究者を増やすために、研究代表者が平成26年6月に開催されるThe 10th CDIO International Conferenceに参加し、本研究課題に関する発表を行う。海外の技術者教育認定機関への訪問調査を平成26年10月に実施する。また、同年12月に第2回の国際ワークショップを実施し、当初の計画よりも多く海外共同研究者を招聘する予定である。
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