研究課題/領域番号 |
25282054
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
松田 憲幸 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (40294128)
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研究分担者 |
橋田 浩一 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (00357766)
瀧 寛和 和歌山大学, システム工学部, 教授 (10304180)
池田 満 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (80212786)
小倉 光博 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (90326364)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メタ認知 / オントロジー工学 / 教授法開発 / 教育工学 / 看護教育 |
研究実績の概要 |
連携する病院にて看護師の研修を実施した.シーズンA,B,Cを各2日間で構成する研修を,A-1(7月26日),A-2(8月20日),B-1(10月4日),B-2(11月8日),C-1(1月31日),C-2(2月28日),リーダ研修(11月1日)を実施し述べ人数41名が受講した.各シーズンの1日目に講義を行い各自の看護を振り返る宿題を課した.2日目に講評およびグループディスカッションを実施した.宿題は振り返りった思考を論理的に記述するためのツールを提供した. 開発した教育プログラムでは,自ら思考する対話と,他者との対話が同型であることに気づかせるコミュニケーション・思考力の育成を目指す.1日目の講義では,思考について考えるメタ思考を教示し,思考のコントロールを解説する.研修期間内の訓練道具として位置づけた思知ツールを紹介し,思考の記述方法を説明して宿題を課す.宿題には,自らの悩んだ経験などから,できるだけ自らの一つの判断に焦点をあて,その思考を論理的に記述するよう指示する.自らの思考と,もう一つの異なる思考の2つを記述し,判断の理由となった指針で対立するように作る.最後にこの対立を超越する知識を記述する. 2日目までに提出する.講評では,思考の問題指摘,および,原因同定,解決助言,効果示唆を行う.重要な問題2つに絞って指導を行う.次に3~4名でグループを構成し,各自が宿題で作成した振り返り思考を説明してグループディスカッションを行う.その後,研修の目的である自己内対話と他者対話の同型性について解説して終了する.開発した学習教材は,自らの学習をモニタリングする現状認識変化確認シート,学習意欲変化確認シート,正解のない問題に対する思考法を解説した思考法研修テキスト,思知ツールを使った思考の記述を開設したサブテキスト,ソフトウェアのクィックマニュアル,講評文,添削シートがある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二度同じ問題・状況が発生しない看護現場の考え方について,実際の病院看護組織と連携する体制を整え,看護サービス・イノベータの育成法を実証した.そのために必要となる教材・学習コンテンツ,教育システムを設計・開発し,それらを用いて参加した看護師らと連携して改善を図った.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き実証を継続し,リーダー・ファシリテータの指導モデルを構築して,育成プログラムの確立を目指す.熟練指導者の指導を記録し,語彙を体系化し,指導を蓄積して検索可能な指導リポジトリを構築する.また開発した教材およびシステムについて,現場看護師の意見を取り入れて改善を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
連携する病院にてすべての研修を修了したリーダー看護師を対象とした実証を実施してきたが,対象看護師の勤務が多忙であったため完全には調整できず,実証に十分な日程を確保できなかった.期間を延長することで勤務体制をあらかじめ調整し,実証に臨めると考える.
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次年度使用額の使用計画 |
連携病院の次の指導者を担うと期待される看護師について,実証実験の実施を想定した勤務シフトをあらかじめ組む.
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