研究課題/領域番号 |
25282056
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
松田 岳士 島根大学, 教学企画IR室, 教授 (90406835)
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研究分担者 |
加藤 浩 放送大学, 教養学部, 教授 (80332146)
渡辺 雄貴 首都大学東京, 大学教育センター, 助教 (50570090)
重田 勝介 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (40451900)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教学IR / 自己管理学習 / Estimator / KPI / ダッシュボード |
研究概要 |
本研究は、学生を中心としたIRサイクルを想定して、自己管理学習(SDL)を支援するシステムを試作し、データの裏付けに基づいて、学生自身の科目選択および授業時間外学習の支援を促すための要件を検討するものである。この目的を達成するために、次に挙げる4テーマの研究に取り組んでいる。 1.学生の修学状況の可視化方法の開発、2.学生の自己管理傾向を示す尺度の開発、3.学生の修学状況・自己管理傾向・授業の特徴とのマッチングアルゴリズムの定義、4.上記(1~3)の研究結果を統合した支援システムの開発・評価 研究実施計画にしたがって、平成25年度は上記1および2の研究を進めた。まず、1に関して北米を中心とする海外先進事例を調査し、いくつかの予測システム(Estimator)とそのアルゴリズムを学んだ(松田 2014)。さらに、参考になる学生モデルや同様のシステムを日本で開発する場合の課題(分析結果として提示すべき指標、使用可能なデータの差異など)を明らかにした。その過程で、異なる機関に属する研究者間で共用できる学生ダミーデータの要件を定義し、中規模地方国立大学を想定してダミーデータを作成した(松田ほか 2013)。また、学生に適したインターフェースについても検討した(八重樫ほか 2013)。 テーマ2に関しては、先行研究のレビューから日本語版のSDLのレディネス尺度(SDLRS)から質問項目を抽出して、本研究代表者・研究分担者が所属する大学の学生を対象にパイロット調査を実施した。さらに、調査結果と実際の学習活動や成績とを照合して妥当性・信頼性を検討した(松田ほか 2014)。 これらの研究結果は国内学会における解説論文や口頭発表として報告されたほか、平成26年度には国際会議(AIR)での報告も予定されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた2テーマの研究は順調に進捗しており、システム開発につながるデータが集まりつつあるため、おおむね順調といえる。また、年度末には今後大きな課題となる分析結果の提示方法に関する研究にも着手し、海外のIRシステムに加えて、企業で用いられているBIシステムも参考にダッシュボード設計の検討も開始した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には、データのマッチングアルゴリズム研究が本格化するが、ここで重要なのが未検討であった授業の特徴整理である。まったく同じ授業はほとんど存在しないので、授業ごとにどの程度のSDLレディネスが求められるのかが定義される必要がある。そこで学会等で協力者を広く募集し、汎用性の高いマッチングを研究する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度途中で研究代表者が所属する大学において教員表彰を受け、個人研究費が上積みされたため、基金の一部を次年度使用とした。また、代表者・分担者全員が参加した学会全国大会があったため、その機会を利用して打ち合わせを行い、不要な旅費支出を抑えることができた。 最も多くの経費を要するシステム開発、特に信頼性を高めるための形成的評価に充当し、β版の評価参加者を複数大学において多数募りたい。
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