研究課題/領域番号 |
25282063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
大倉 孝昭 大阪大谷大学, 教育学部, 教授 (50223772)
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研究分担者 |
金澤 貴之 群馬大学, 教育学部, 准教授 (50323324)
中野 聡子 広島大学, アクセシビリティセンター, 講師 (20359665)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教育工学 / メディアの活用 / 字幕 / 聴覚障害者 |
研究概要 |
1)インターネット上の公開サーバーの構築を行った。 OS:Windows Server 2008 r2 、Web:Apache 2.4、Media Streaming:Wowza Media Server 3.5.2、PHP5.5 をインストールしたサーバーを機関の情報教育センターの協力の下、DMZ上に公開した。さらに、開発した資源を随時公開するために、OpenSSHを用いてVPN経由でリモート・デスクトップによって作業ができるようになった。 2)モバイル用実験サーバーの開発・構築を行った。 2010-12年に実施した予備実験では、聴覚障害学生の在籍する協力大学へ実験用クライアントPCを持参し、インターネット上の“字幕視聴実験サーバー”へ接続して字幕付きビデオを再生する予定で準備していた。それ以前に同大で講演した際、同種のストリーミング・サービス用ポートが開けてあったのを経験していたため、再確認せずに実験教室へ出向いたところ、その後セキュリティ条件が厳しくなったとのこと。事前に管理者へ使用PCとポート開放の申請書を提出する必要があると告げられ、急遽、持参していたWiFiルーターを利用して実験をすることにした。本研究は、ビデオ・ストリーミングを前提としており、受信が安定しないと途中でバッファリングによる中断が発生してしまう。実験中に中断が起こらないようにするため送信レートを下げたり、サーバーと対話する機能を外すなどの修正を行った。このことを反省して、実験用サーバー&クライアントの開発を行った。 WindowsノートPCに仮想サーバーをたて、1)と同じ環境を実現した。これにより、本PCのホストOS(Windows 8.1)で仮想サーバーの字幕付きビデオを閲覧・評価する実験が可能であるだけでなく、ルータ経由で別のクライアントPCからも閲覧できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2010-12年に実施した予備実験において、1)聴覚障害学生を被験者とし、授業の合間を縫って個別の実験に参加してもらいためのスケジューリング 2)多様なネットワーク環境下での安定したビデオ視聴実験の実現 3)字幕付きコンテンツを選択できるよう複数本用意すること が本研究推進の鍵になることが判っていた。1)3)については、分担研究者と議論をする中で、徐々に進んでいる。一方、2)は主に技術的側面,資金的側面,研究期間との兼ね合いから解決策をいろいろ探っていたが、Hyper-vによりホストOSと仮想サーバー間で通信できる環境がノートPCで実現されたこと、クラウド開発環境が各社から安価に提供されるなどの劇的な変化が起こり、見通しがたってきた。
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今後の研究の推進方策 |
本年1月から、具体的な候補ビデオの選定、字幕の印象評価における形容詞対の決定、評価対象の情報付加機能 について分担研究者と話し合いをもちながら、実験計画を策定している。同時に、視線計測装置の購入手続きを進めており、間もなく実験準備が整う。 作成した視覚刺激の妥当性を検討し、本実験の予行として、勤務校で聴覚障害学生の協力を得て実施する。5-6月に関西地区で数人を対象に実験を実施し、その分析に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
視線計測装置を3か月間借りて(レンタル)、予備実験を行った。レンタルの場合、解析ソフトも同じ期間でライセンスが切れてしまい、データ分析の最中に使えなくなって、論文作成に支障が出るという問題点が改めて浮き彫りとなった。また、ビデオ字幕を視聴している際の眼球運動を分析した事例が少なく、解析ソフトのどの機能を使うのが適切なのかを検討するだけに終わってしまった。 そこで、まとまった額を繰り越し、本年度分と併せて視線計測装置を購入することにした。6月以降、昨年度購入済みのグラフィック機能を強化した視線計測データ取得用ノートPCとモニターを一緒に実験協力校へ持ち込み、できるたけ多くの聴覚障害学生を対象に字幕付きビデオ視聴時の眼球運動を記録する。これにより、2010-12年の予備実験(当時もレンタル)データや昨年度の機器運用のノウハウ獲得実験などで得たデータも活かすことができ、比較ができるになる。
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