研究課題
本研究は、内陸部の岩陰遺跡における先史時代の環境および人間活動を、生物考古学(環境考古学)の手法により総合的に研究することを目的としておこなった。長野県南東部の相木川流域に多数存在する岩陰のひとつである、小海町の天狗岩岩陰遺跡を対象に、2011年より発掘調査を継続した。これまでの発掘調査で、弥生時代前期から古墳時代前期にかけての土器片、石器、鹿角製品、炉跡の他、多数の獣骨、魚骨、炭化した麦等が出土した。環境考古学の手法による調査として、考古学、動物考古学、民族考古植物学、古人類学、安定同位体分析、古DNA分析など異なる分野が緊密に連携して調査を進めた。今年度は、調査区の北東部分を掘り下げ、多数の灰層を確認し、弥生時代に岩陰を利用した人々が、狩猟したシカなどの動物を解体したり、骨角器を制作した場所と思われる、台石の周辺に土器、鹿角、骨片などが集中して分布する遺構を発見した。このような遺構は、平野部に稲作農耕が導入された弥生時代において、山間部の岩陰が、狩猟キャンプとして繰り返し使用されていたことを示唆する。また、今年度の調査の第1の目的は、さらに下層の縄文時代の文化層を確認することであったが、弥生時代の層の下から、縄文後期中庸~末の土器片が出土した。天狗岩岩陰の利用が少なくとも縄文後期にまで遡ることを明らかにできたことで、調査の目的を達することができた。今年度の調査区から10数点の年代測定用サンプルを採取し、炭素14による測定を実施した。この結果を参考に、層序と年代の検討を行った.現在、報告書を準備中である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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