AD950から1950までの日本産樹木年輪を用い,年輪幅およびセルロース酸素同位体比による年輪年代を確定させて炭素14年代を測定し,較正曲線IntCal13との比較して大気中炭素14濃度の変動を検討した。基本的にはIntCal13に沿った結果が得られていて,特異な変動がみられる時期は限られていた。11世紀前半と15世紀前半は異なる樹木年輪を比較し,ほぼ同じ挙動を示したことから地域差は少ないと思われる。一方,17世紀以降はいずれの樹木年輪も変動が大きい。18世紀の挙動は近世建造物と合致するが,既報値とも合致しない例もある。産業革命以降はSuess効果の影響などを考慮する必要がある。
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