研究課題/領域番号 |
25282081
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
近藤 昭彦 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (30201495)
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研究分担者 |
唐 常源 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (80251198)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 川俣町山木屋地区 / 里山流域 / 人と自然の関わり / 放射能モニタリング / 放射能汚染対策 / 山村水文学 |
研究概要 |
平成25年度は放射能汚染された山村(川俣町山木屋地区を対象)における復興の基礎資料を得るために、里山である山地流域(里山流域)を対象とした詳細な空間線量率調査を行った。その結果、地形、植生分布に対応した不均質な空間線量率の分布が明らかとなったため、さらに詳細な放射能汚染分布調査の必要性が生じた。そこで、山地斜面における落葉層、土壌層の放射能濃度の分布の測定を行った。その結果、放射性セシウムはほとんどが落葉層(L層、F層)に存在し、土壌層(A層)への浸透は限定的であること、等が明らかとなった。この結果に基づき、小技術(個人およびコミュニティーで担える伝統的な治山・緑化技術)に基づく山林の放射能対策の提案を行ったところである。また、故郷に対する誇りを維持・強化することを目的として、山木屋地区の集落地理学的研究を開始した。平成25年度で過去の空中写真(1975年)をモザイク、オルソ化する技術が確立したところであるが、今後、山林域の土地被覆変化を時系列として地図化し、山村における濃密な人と自然の関わりを可視化し、発信することにより、放射能汚染地域の復興対策の加速化を図りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
放射能汚染された山村の復興を達成するための基本的考え方として「里山流域」単位の対策を提言し、流域単位の放射能モニタリング手法の確立、放射性セシウムの移行メカニズムの理解、放射能対策の提案を行った。また、対策を進め、復興を実現するためには“故郷の誇り”を維持・強化し、外部に向かって発信する必要がある。そのため過去の空間情報の処理技術(モザイク、オルソ化)を確立させた。
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今後の研究の推進方策 |
以下の点について研究を進める。1)里山流域における放射能汚染分布図の作成の精緻化および他流域・多流域への適用を進めること。2)放射能対策案のフィージビリティーに対する山木屋地区との協働による検討。3)山木屋地区における集落地理学(山村地理学)的研究の推進により、“山村世界”のアピールと地域に対する誇りの維持・強化。
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次年度の研究費の使用計画 |
避難区域の帰還・復興を目指した研究(社会の中の研究)であり、避難している住民との協議が必要であったが、極めてセンシティブな問題であり、平成25年度の成果に基づいた上で住民の主体的な放射能調査の実施可能性について協議することにしたため、基金の一部を繰り越した。 簡易ベクレル計を導入し、現場に設置し、住民の方々が植物、土壌、農産物、等について計測できる環境を整え、その結果を集計することで帰還を検討するための基礎資料とする予定である。
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