原子力災害により避難が継続している山村(福島県川俣町山木屋地区)において、環境回復・帰還・復興のために地理学の知識・経験を活かすことを目的とした山村の地理学的研究と放射能調査を行った。特に重視したのは里山の放射能分布の実態である。流域を単位とした空間線量率サーベイ、落葉層や土壌の放射能濃度測定、水文観測により、山木地区北部における放射性物質の分布と移行特性を明らかにした。これらの成果に基づき、山村の地域性を尊重した放射能対策の提案を行った。研究期間を通じて、地域の多様なステークホルダーとの連携を重視し、トランスディシプリナリティー(超学際)研究の実践と位置づけた。
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