研究課題/領域番号 |
25282082
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
鈴木 毅彦 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (60240941)
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研究分担者 |
植木 岳雪 千葉科学大学, 危機管理学部, 教授 (40371025)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 盆地堆積物 / 米沢盆地 / 放射性炭素年代 / 会津盆地 / 郡山盆地 / U8テフラ / 塚原海岸 |
研究実績の概要 |
2年目となる本年度は,前年度・本年度に当初の予定外で東北地方各地盆地のボーリングコア観察の機会を得たため,ボーリング掘削調査を実施しなかった.ボーリング掘削調査以外の研究実績として,前年度に観察機会を得た米沢盆地北部高畠町深沼で掘削されたコアから得た試料については,その放射性炭素年代を8層準で実施した.この年代値と前年度に検出したテフラとあわせて堆積速度を高精度で明らかにし,会津盆地西部の堆積速度と比較した.前年度,テフラのみから推定した堆積速度は,会津盆地西部における堆積速度に比較するとやや大きいことを指摘したが,その確度を高めた.また,本年度は会津盆地中央部において他のプロジェクトで実施されたボーリング調査で得られたコアとそれに含まれるテフラの観察機会を得た.そのデータをあわせて会津盆地内での堆積速度の地域性を検討した. 従来から調査を進めている郡山盆地においては,地下に伏在する第四紀堆積物の年代を決定する上で対比すべきでありながら確実な対比が未完であった火砕流堆積物について,約92万年前の年代をもつ上総層群中のU8テフラと対比可能なことを明らかにした.同火砕流堆積物は郡山盆地地下の第四紀堆積物基底付近にあり,盆地堆積物の堆積開始年代や当時の堆積環境を復元する上で重要な鍵層である.本火砕流堆積物は,これまで白河火砕流堆積物群の一部と考えられていたが,どの単層に対応するか不明であり,堆積年代が150~80万年前の範囲のいずれかという幅が大きな年代推定に限られていた.今回の対比によりその年代を約92万年前に狭めることができ,盆地堆積物の堆積開始年代を限定できた. 東北地方海岸部においては,最終間氷期最盛期(MIS 5e)直前の海進堆積物の試料採取を福島県南相馬市の塚原海岸において実施した.現在分析中であるが,それから津波堆積物の形成頻度や当時の地形発達を復元する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東北日本弧の内陸盆地と海岸域の地形発達史を復元する上で必要な試料となるボーリングコアが多数順調に得られ,さらに内陸盆地のボーリングコアからは年代指標となる複数のテフラ層や放射性炭素年代値が順調に得られていることが理由となる.
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今後の研究の推進方策 |
海岸域の調査研究が内陸域に比べて遅れているので.今年度は海岸部の調査に重点をおく.これまでの研究成果は学会発表にて概要を公表しているが詳細なデータは未公開のままであるので論文等の形式で順次公表を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は予定外にボーリングコア観察の機会を得たため,ボーリング掘削調査を実施しなかった.このため全体的に予算に余裕が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
予算に余裕が生じた分は次年度以降の掘削する際,掘削深度を増すことに充てる予定である.
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